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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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「人」

▲あんまり暑いのでなんだかいつも頭がぼぉーっとしている
感じ。
大阪に越してもう二回目の夏やのに、からだがいっこも「ついて来てへん」感じ。
「もうあかん」と日に三回くらいは深いため息(笑)の今日この頃です。
「本州」では三本の指に入る厳寒の地で13年間も暮らしたので、からだがすっかり寒冷地仕様になってしまったのか「暑さ」「湿気」にはホント弱くなった、と思う。
まだまだ夏はこれからなのに。

▲・・・と、そんなぼぉーっと状態で本を読んでたんだけど、興味深い事が書かれてあったのでぱっと目が覚めました。
それはこのところ気に入って続けて読んでいる理論社の「よりみちパン!セ」のシリーズの
『神さまがくれた漢字たち』
白川静監修・山本史也著という本です。

▲常々「人という字はね、支え合って成り立ってるでしょ。助け合って生きる、それが人というもの」なんて風な話を聞くたびに、何かクサイなぁ(笑)嘘の臭いがするぞ、と
ひねくれモンのわたしは思っていたのですが、この本では「そのような人と人の関係がいつまでも保たれてゆくならそれはどれだけ幸せなことか知れません」とした上で
「しかし、即座に私たちの理想に当てはめてその漢字の成り立ちを考えるのは、やはりいくらか先走りであるように思われます」と言うてはるのでした(同感!)

▲曰く「人」という字形はもとはすこし首をすくめた人を横から見る形で示されているのだそうです。何かに服従してるような、重いものをひしひしと背に感じてるような、心なしかうつむきかげんの姿勢を写しとった形。なんか哀れで貧相な姿・・・それが「人」というわけです。
もとより「人」とは「崇高な存在として重んじられてきたわけではなく、神に試され、操作され、ときにはそのからだを傷つけられ、また神の意向のままにたやすく生命を損ねてしまう場合さえあった」そうなので、そう言われれば納得の「姿勢」です。

▲甲骨文には羊や牛と共に「南人」と呼ばれる南方の異族、「羌人(きょうじん)」と呼ばれる西方の異族の多数が捕獲され、生け贄として神に捧げられたという内容が頻繁に見えるそうで。その犠牲者の和はある甲骨学者の統計によれば1万5千人相当にも及ぶと言われているらしい。

▲ちょうど同じ頃に『百年の愚行』
という写真集を図書館で借りて来ました。
湾岸戦争の際に重油で汚染された海、製紙工場の廃液処理池、森林伐採の跡、密猟者に殺されたゴリラ、収穫量が多すぎて投棄されたトマト、AIDS発症の幼児、内戦と飢餓に苦しめられている難民キャンプ、道に横たわる瀕死の子ども・・・これでもか、これでもかというほどに続く「人」の「愚行」の記録には目眩がするほど。圧倒されます。
もちろん、あらゆるものの「進歩」で「人が救われた」こともあるけれど、それを差し引いたとしても「愚行」のツケはあまりにも大きいです。

▲ああ、愚かなる「人」。
だから。
だれが言い始めた知らないけど「倒れかかった二人がお互いを支え合ってる」という「人」のいいかげんな漢字物語が
よけい滑稽で哀しくて・・・あほらしい。
by bacuminnote | 2005-07-17 17:07 | 本をよむ