いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

こんなところで こんな姿の鮎に。

▲紫陽花の季節になった。ほっておいてもいくらでも増えるらしく、不精者の庭にも季節がめぐると、ちゃんと色とりどりの花が咲いてくれる。見れば見るほど不思議な花・・・紫陽花の学名”Hydrangea”は「水の容器」という意味らしい。

▲「みずのうつわ」とはなんとも涼し気で、町家で佇む姿が似合うかと思ったら、どこか深窓のおじょうさん風でもあるこの花(笑)をよく表しているなあ、と唸る。そもそも学名ってそんな情緒的な視点でつける名前じゃないんだろうけど。
雨降るなか、水のしたたる花びらの そのうつくしいさまを眺めながら「みずのうつわ」の名にふさわしい花、と改めておもう。

▲昨日スーパーに行ったら、魚売り場に発砲スチロールのお皿にパック詰めされた鮎をみつけた。おお、もうそんな季節なのね、と思いながらも こんなところでこんな姿の鮎に会うなんて(苦笑)
いや、なんとも落ち着かないのである。鯖や鰺や太刀魚がパック詰めされていても、特に何も思わないのに。川魚を見るとどきんとするのは、川育ちやからかなぁ。

▲もう20年ほど前に母が『きょうの料理』というTV番組の「鮎料理の特集」というのに出たことがあった。
この間その古いビデオを出して来て見てみたんだけど、まだ髪も黒い60すぎの母はテレビカメラの前で、ちょっと緊張しながらも鮎すしをにぎり、小出刃で手早く鮎を開き塩漬けしていた。それまで取材はたいてい父が受けていたんだけど、この前の年の秋 駆け足で逝ってしもたから。

▲母がしていたベージュに焦げ茶色のリボンテープのついたエプロンは、たしか母の日におくったものだと思う。「たまにはゆっくりしてね」というカードの決まり文句とは裏腹に、このころ母への贈り物はきまってエプロンだったんよね。

▲父が亡くなる前まで住んでいた、その昔旅館だった建物の二階でテーブルいっぱいに鮎料理が並ぶ。塩焼き、みそだき(赤みそ仕立て)、せごし(生の鮎をそのままぶつ切りしたもの)うるか(鮎の内臓の塩辛)、鮎すし(酢でしめた鮎)と焼き鮎すし(鮎の素焼きに甘辛い葛あん)。アナウンサーに質問を受けて、古いおつきあいの釣り師の○さんと母が鮎の話をしている。

▲「あかん、あかん。おかあちゃん。緊張しすぎや、って」と、とうに過ぎた場面にやきもきして肩に力が入る。最初は寝ころんで見てたのに、いつのまにか正座してるし。
なつかしい鮎料理と、窓のむこう きらきら光る吉野川の川面(かわも)に まだ現役だった母や亡き父を思い、むねがつまった。

▲こどもの頃は当たり前でナンの感慨もなく、眺めていた山や川やよしので見てきたあれもこれも。じぶんの中で、じつはゆっくり醗酵していたのかもしれないな、とこのごろよく思う。
そういえば、古い木造校舎でこどもたち皆でぶつぶつ言うてた小学校も「林業の吉野」にふさわしい重厚な建物だった。思い返せば、その広い大きな瓦屋根も圧巻だった。

▲その小学校(もう何年も前になくなった)の近く、川の方にちょっと下ったところに皆が「ベッソー(別荘)」とよぶ お家の「龍門文庫」のその文化的価値のすごさを知ったのも 恥ずかしながら最近のことだ。

▲龍門文庫というのは、文庫主人である故 阪本猷氏が収集した和漢の古写経、古写本、古版本、古活字本、自筆本、江戸絵入版本等を納めたもので、かなり専門的でわたしには遠い世界だけど、漱石や荷風の生原稿もあるそうだ。
阪本さんの本宅は吉野の龍門という所で、小学校の近くにあったのはその別荘だったのだ。(別荘の敷地内に阪本氏亡き後、氏の意志を継いで妻の千代子さんが文庫の収納庫を建てられた)

▲阪本さんは実家の昔からのお客さんで、父は三輪車で「はいたつ」に行っては「お駄賃」にと、当時珍しいお菓子を薬袋に入れてもらったらしい。こどもがいてはらへんお家だったからよけい父をかわいがってくれたのかもしれない。
以来父も、そして母も何かおいしいモンやめずらしいものが手に入ると「ベッソーのおくさんに」。海外旅行に行っても「おくさんに」と、おみやげを届けてたりした。

▲そうそう、わたしも「はいたつ」に何度か行ったことがある。ひんやりした玄関、上がり口にお客さんの履き物がきちんとそろえられていて、それでなくても緊張してるのに「こんにちは」という自分のかすれ声が土間にひびいてドキドキしたものだ。

▲本好きなこどもだったけれど、それでも敷地内にあるりっぱな書庫に、何が納められているかまったく関心もなく、そこはたまに「はいたつ」に行かされるお客さんのお家でしかなかったのだけど。
この間からインターネットで調べて おどろいている。そして龍門文庫が古典の宝庫であることだけでなく、地域でこども文庫も開いていることを知って、うれしくなった。


[PR]
by bacuminnote | 2007-06-12 13:42 | yoshino