いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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いるもの、いらんもの。

▲この前の日曜日は相方のおとうさんの祥月命日だった。
なんだか遠い日のようで、なんか昨日のことみたい。なんだかワケわからん一日で、そのわからなさにないた日。
結局あの日のパン焼きが 麦麦最後のパンになってしまったのだけど。 あれから4年、である。

▲朝からバスで義母のところに行った。
部屋の窓からは ぽかぽか陽気に見えたのに、外は風がつめたくて思わず首をすくめる。
多いときは日に三度も義父が飲みに寄ってたらしい喫茶室の珈琲を供える。珈琲の香り ひろがるその部屋で 買って行った松茸弁当を義母と食べた。相変わらず、笑うたびに脱線するおんなふたりの話に、秋の陽差しは畳の上にやさしくあたたかく長くのびて。ご飯のあと、去年もそうしたように、供えた珈琲を温めて飲んだ。

▲帰り道、黄色や茶色の落ち葉をかしゃかしゃ踏みながら歩いてたら、上でごおーという音。飛行機をみつけると、いつも反射的に「旅がしたいなあ」とおもう。そんで、こわいものしらずだった若いときでさえ外国に一人旅なんてよーせんかったくせに「やっぱり旅は一人で、やよなあ」なぁんて エラソーにおもうのであった。

▲けど、この間観た映画(DVD)に知らん人と一緒の旅!のおもしろさをいま思っている。その映画『サン・ジャックへの道』はフランスからスペインまでの巡礼路・・・ル・ピュイからサンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmも続く道のりをただひたすら歩くツアーの一行の物語だ。

▲まず、亡き母の遺産相続の条件として(この条件にはお母さんのいろんな思いが詰まってることが、やがて明らかになるのだが)このツアーに参加することになった仲の悪さも、その個性もハンパじゃない中年の兄姉弟三人、ガイドのギイ(←なかなか かっこいい)山歩きかと思って参加した女の子二人、アラブ系移民の若者とその従兄弟、訳ありげな物静かな女性、と9人のメンバーが様々な動機で出発。携帯も通じない!アップダウンのはげしい道のりを一日7時間も8時間も歩き続ける。

▲巡礼と言うても、あんまり宗教色は濃くなくて。でも「歩く」というシンプルな行為ゆえに、みんな旅をしながらいろんなことを思い、気付き、考えるんだけどね。自分一人が背負うことのできる荷物は限られていて。何が必要で、何が不要か。荷物は重いから捨てるのか、要らないから捨てるのか。旅はジンセイに似ている。途中リュックのシャンプーや化粧品やドライヤーを置いてゆく女の子、不要なものを捨てて行こうと、うっかり薬まで置いてきてしまった男のひとを笑いながらも、わたしだったらどうだろう?と自分に問うてみる。

▲二ヶ月もの日々を、そうやって歩いていると、ひとは一枚一枚要らない服を脱ぐように 心もしだいにオープンにしてゆく。徐々に堅いこころがほぐれてゆく様子・・それは予想した通りの展開なんやけど、それでも、しんそこ「ああよかった」と画面に見入るのだった。
とりわけ不仲のきょうだいの「姉」クララがメンバーの一人、失読症の少年に 旅の間じゅうひそかに根気強く読み書きを教えるところは、しみじみとあたたかく頬がゆるむ。少年はクララのおかげで文字を獲得し、クララは少年と出会ったことでねむっていたやさしさが染み出てくるんよね。

▲大きな事件が起きるわけでもなく、すごいラブストーリーがあるわけでもなく、かっこいい俳優が出てるってのでもないけど、気がつけば自分もリュック背負って一行と歩いてる気分になっている。雨の中ようやくたどりついた宿泊所が満員だと断られると、落胆し、道中のすばらしい自然に目をみはる。そして終着点のサンティアゴ・デ・コンポステーラにそびえる大聖堂、スペイン最西端のひかる海に胸がつまった。
「人生って捨てたもんじゃない」(←映画公式HPのコピーでもある)


*ちょっと長い追記*

その1
サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・ジャック)はエルサレム、ローマと並んでキリスト教三大聖地のひとつ。9世紀にキリスト12使徒の一人である聖ヤコブの墓がこの地で見つかったとされる。サンティアゴ・デ・コンポステーラのコンポステーラとは「星の平原」という意味を持つ。サンティアゴは、聖ヤコブのスペイン語。フランス語ではサン・ジャック。
「公式サイト」より

その2
この間 観たもう一本も「旅」つながり。
「パリ空港の人々」(フィリップ・リオレ監督/1993年フランス) モントリオールの空港で居眠りしている隙に搭乗券以外の所持品すべてを盗まれてしまったという男性が、パリのドゴール空港で拘留され、そのまま空港内トランジットゾーン(外国人用処理区域)で同じ境遇の人たちとであい、そんな空港に共に「暮らす」話です。
トム・ハンクス主演の映画「ターミナル」の元になった、というか監督のスピルバーグはこの「パリ空港の人々」にインスパイアーされて「ターミナル」を撮ったのだそうです。が、わたしは「パリ空港・・・」のほうが深く染みました。
帰るべき場所を失った人々の、強さや弱さも、たくましさやユーモア、哀しさも。「どこでもない場所」(トランジットゾーン)では国籍も人種もなくただの「人間」でしかないのだけど、だからこその思いやりや優しさに「人生捨てたもんじゃない」と思い、そして、ああ、どこかに行きたくなります。一人で?いや、にぎやかに(笑)
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by bacuminnote | 2007-11-20 20:01 | 映画