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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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朝は夜に、夜は朝に。

▲時間の使い方が下手なのか、動きがのろいからか、あっという間に朝は夜に、夜は朝になる。
まだ子どもが小さくて手がかかり、パン屋をしていた頃は、どんな風に暮らしていたのだろう、とふと思うんだけど。若いときはわたしみたいに「あゆみののろい」者でも、それなりにアクセルを踏みこんでいたのかもしれない。
いつもは当たり前と思ってる自分の「時計」ながら、たまに姉や母や友だちと一緒に過ごすと、速い人遅い人~じつにさまざまでおもしろい。

▲母も義母も昔から自営業の家で「嫁」として働いて来た人だから、いまだにせっかちだ。これをしたら次はあれ、という風に、つねに頭の中のタイマーが鳴っている(気がする)
義母は直接仕事には関わっていなかったが、義父の両親や祖父母、出入りの職人さんも多く、いつも台所に立っているような生活だったらしい。

▲その習慣は義父が店をたたみリタイアしてからも長く抜けず。義母は友だちと出かけても4時が近づくと、夕飯支度が気になってそわそわし始めるので、みんなに「4時の女」と呼ばれていたそうだ。
そんな義母もいまはもう食事の心配のないホームでの暮らしだけれど、4時にはお風呂なので(と、自分で決めている)3時を過ぎるとしゃべっていても、ちらちら何度も時計を見てはって。「4時の女」は健在だ。

▲母に至っては、からだの弱かった父以上に働き手であり、つねに家業の旅館や店の「段取り」を考えながら動いて来た人なので、かつては娘たちが帰省してくると、その段取りというものが皆無の たらりんとした生活態度に、たいてい二日目くらいから我慢ならんようになるのであった。
今思えば、孫が何人も生まれるような年になっても、母は忙しく働いていて。それでも夜更けに墨をすり、刺繍をし、レコードを聴いて・・・一体いつ寝てたんやろなあ、と改めてそのバイタリティーにおどろかされる。

▲そんな風にあってもあっても、足りない時間をずっと走って生きて来たひとも、いまはいっぱいの自由な時間を持てるようになった。それなのに、やっと持てた時間が 老いと体調がゆえに存分に使えない、と時々ためいきをついていて、ちょっとさびしい気もするけれど。相変わらず「段取り」はいつも頭の中で健在なようで、電話で話していると「たらりん」として暮らしてる娘もその時だけは背筋がのびる思いだ。

▲今日は朝から春とはおもえないつめたい雨が降り続き、ぬれた新緑のみずみずしさに見とれる。
こんなにうつくしい緑を前にして、しかし四月 もの思いにふけることが多いのはかけ足で友人がいってしまった月だからか。年を重ねて、とうに忘れてしまっていたような小さな思い出が突然ふっと湧いてきて、頬がゆるみ、そして「時間」に思いをはせる・・・明日はJ.Jがいってしまった日だ。

▲『たとえば、青空に浮かんで動かないように見える白い雲が、ちょっと目を離した隙に遠くまで行ってしまうように、物事は思った以上に早いスピードでどんどん流れてゆく。そういうことを最近やっと実感として感じるようになり、その結果ちょっとわたしはせっかちになった。』(山本文緒『みんないってしまう』より抜粋)

「ほらほら、洗濯機はだいぶ前に止まってまっせ。それにお昼の支度でっしゃろ」
お~っと。
ぼーっとしていたら、うしろから義母や母の急かす声が聞こえてきそうだ。
by bacuminnote | 2009-04-25 14:01 | 本をよむ