いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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さくらのわたし。

▲この風邪が治ったら。肩の痛いのがおさまったら。
足が痛ぅて。温うなったら・・・と、母の「又あんたとこに行きたいねん」の思い叶わぬまま季節がめぐり、春が来た。
相方のお母さんもわたしの母も八十をこえてから「痛い」「しんどい」がとたんに増えた。それでも、ちょっとしゃべって笑ってるうちに 声に張りが戻って来ることも多くて。ほっとしたり「なぁんや。元気やん~」と思ったり。けど、年を重ねることの深さも重さも、けっして遠い「他人事」ではないんよね。

▲いつか、いつかと、母がわが家に来るのを待ってる間に、下の子がわたしの背丈を越したんよ~と話したら、「ええっ~ちょっと見ん間にそんな大きいなったん?顔みたいわあ」と言うので、こっちから会いに行くことにした。
平日だし「吉野(山)の桜」にはまだちょっと早いからか、特急は二両きりだったけど、窓から見る近鉄沿線にはあっちにもこっちにも桜の花が咲いており。茶っぽい山々の中に、ぽっとそこだけ灯りがともったみたいにピンクで、かいらしい。例年より10日は早い開花だそうだ。

▲吉野山の桜のうつくしさは「別格」として。
吉野でなくても、わたしは山の中にぽつんと在る桜がすきだ。時に妖しげ、時に可憐、時に楚々とした桜の木に惹きつけられる。
さて、いつものように川が見え始めると、窓際の空席に移動する。
春の川はきらきらひかって「ほら、ほら。川やで」と、年甲斐もなく はしゃぐハハに「見えてる」と思春期の子のつめたい返事。(しょぼん)
阿部野橋駅から1時間、六田(むだ)駅を過ぎるあたりになると、その景色に「ああ、吉野に帰ってきた」という気持ちになる。相変わらず電車は揺れて騒々しく走る。きぃーきぃー、がたんがたん という音を聞いてると、この小さな田舎まちを出ることばかり考えていた「わたしの思春期」がよみがえってくる。

▲家に着くと、母が電話で何度も言うてたとおり、庭の桜が咲き始めており、その淡いピンクの花びらも、つぼみの濃い色もとてもきれいだった。樹齢100年を優にこえる貫禄も格好もなかなかええ木だ。
母は会うなり「ほら、ほら、桜。きれいやろ。ほんまええ時に帰って来たわ~」と窓の外を指さす。
まるで「川がきれい」と同意を求めるだれかさん そのまんまなので思わず苦笑。
一年ぶりの孫の姿に「わあ、大きいなってぇ。ほんま大きいなったなぁ」と派手にハグして喜ぶ母が、かいらしい。
はずかし、照れくさいを堪えて、されるがままの思春期の少年(笑)も又。

▲何べんも言うてる気がするけど。
桜の季節はあんまりいい思い出がない。子どものときは、新学期やというのに家業が忙しくて母がかまってくれなくて、拗ねて。思春期の頃は日曜日というと「無理言うて皆にも(臨時雇いのひとたち)来てもろてるのに、家のモンが遊びに行ってどないするねん」と父に怒られ、出かけられなかったし。
ケッコンのことで父と大げんかしたのも桜の季節やったし。

▲そういえば、その頃 ちょうど岩崎宏美が歌ってた歌を友だちが「なんか くみちゃんらみたいやろ」と レコードを持って来てくれて。たしか父親に結婚反対されている恋人たちの歌で、♪桜の花はもう六分咲き~というんだった。
何ていう歌か忘れたけど~ と、何年か前に ひこ・田中さん(なぜか岩崎宏美にくわしい!)へのメールに書いたら、ソッコウ「ロマンチックですなあ。それは『春おぼろ』です」と歌を送ってくれはった。(まさか二十数年ぶりにこの歌聴けるやなんて、ね。びっくりするやら、うれしいやら、気はずかしいやら・・)

▲母や姉ともこのあたりのことが話題にのぼって、ほんま冷や汗モンだ。
『いもうとのままに老いたり桜餅』(平沢陽子「詩歌句」所載)というすきな句があるんだけれど。吉野に帰ると、50すぎのおばちゃんも アマエタの末っ子のくみちゃんのままなのである。
話しても話しても、崩れることのない話の山に 退屈したのか、呆れたのか、いつのまにか息子はテレビで高校野球を見ていた。

▲そうして気がつけば、もう帰る時間になって。
橋を渡ったところまで母が送ってくれる。ここはかつて吉野川の三大渡しのひとつ「桜の渡し」とよばれたところだ。
「また、帰って来てや」という母が、何度ふりかえってもそこに立っているのが、うれしくて、さびしかった。その昔は橋ひとつ渡る時間もなくて「ごめんやけど、ここで」と仕事に戻る働き者やったから。「また、大阪にも来てや」と返事して手を振った。
行きは つんつんしてた息子と帰り道はいっぱい話しながら駅まで二人ならんで歩いた。
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by bacuminnote | 2008-04-02 22:07 | 出かける