いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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あーあ。

▲風邪をひいてしまった。
あとになってから思い返せば、三日前くらいから喉の具合が悪かった。そういえば、瞼も何だか重かったし、それから・・・と気づくんだけど。あ、あかんかも、と思った時にはもう遅かった。

▲幸いインフルエンザのように高熱が出るわけでもない、ただの喉風邪。でも、これが「ただ」とは言えない なかなかのツワモノで、思わず「まいりました」とわたしは布団に突っ伏したくらいだ(苦笑)

▲「ああ、しんど」とうるさい(らしい)わたしの傍ら 相方が「僕ら これからまだ死んでいかんならんのに。風邪ぐらいで そないたいそうに わあわあ言うてたら、お前、一体どないするつもりやねん」と呆れたように笑いながら言う。
「どないするつもり」と言われても「ほな、わたしは永遠に」というわけにはいかへんし、こまったなぁ。
相方の「死んでいかんならんのに」の一言の前に、わたしは布団の中で一人あれやこれやおもいながら、天野忠さんの『あーあ』という詩を思いだしていた。

「最後に あーあというて人は死ぬ 
 生れたときも あーあというた
 いろんなことを覚えて
 長いこと人はかけずりまわる
 それから死ぬ
 わたしも死ぬときは
 あーあというであろう
 あんまりなにもしなかったので
 はずかしそうに 
 あーあというであろう」(『天野忠詩集』現代詩文庫・思潮社)

▲さて、丸三日ひいひい言うて、やっと落ち着いたと思ったら、こんどは相方が「なんか、変や。きっとお前にうつされた」と言い出した。「うつった」ではなく「うつされた」というあたりに ツマはちょっとひっかかるのであるが。 寝込んだ間、分担外の家事もやってくれたので大人しく「悪かったなあ」と答えた。
「とにかく寝る」と寝室に消える相方。しかし電気も消して、ぴしっと襖を閉めて。静かだし様子がわからないので、しばらくして「どない?何かほしい?」と聞きに行ったら「ちょっとほっといてくれ」と怒られた。(←なんかわたし子どもみたいやなあ・・・)

▲相方はしんどいときに、構われるのが大嫌い派。わたしはというと、末っ子の甘えた だからか「どうや?何か冷たいもん要る?水枕は?」と構ってほしい派やから。「してほしいこと」がまるで反対のふたりは病気のときには決まってけんかになる。
そういえば、友人の相方もわたし同様「構われたい」組のようで(笑)
「微熱程度でも大げさで、桃の缶詰ほしがるし。面倒くそぅてかなわんわ」と友人はこぼす。彼女たちフウフのやりとりと、懐かしい桃の缶詰の、つるりとした食感やちょっと甘ったるいシロップを思いだして、頬がゆるむ。

▲この間から 『歩いても歩いても』 『かぞくのひけつ』という邦画をレンタルショップで借りてきて観た。『歩いても・・・』は15年前に亡くなった長男の命日に長女や次男がそれぞれの家族と共に、両親の住む実家に集まる一日半を。
『かぞくの・・・』は大阪は十三(じゅうそう)という町を舞台に女グセの悪いお父ちゃんと、怒りながらも最後は許してしまうお母ちゃん、それに思春期まっさかりの息子(これが 『ごめん』のセイ役の久野クン。とてもよかった)の三人家族とその周辺の人たちを描いて。笑うたり、じんときたり、そして考えこんだり。ふたつともいい映画だった。

▲そうそう二編の映画には夫の浮気の話が出てくる。
『歩いても・・・』では、まだ子どもも小さかった 若い頃の 夫の浮気を知っていたことを、何十年もたって妻は夫にさらりと告げる。
湯船に浸かってる夫(原田芳雄扮する引退した開業医)に、脱衣場へ着替えを置きながら、孤独も不満もじっと胸にしまいこんできた妻(樹木希林)は「シャツここにおきましたよ」の続きに、そのことを言うのだった。

▲大阪弁で派手な夫婦げんかを繰り広げる『かぞくの・・・』では、表現は直球だ。夫(桂 雀々)の度重なる浮気に「こんな家、出て行ったる」といさましく出てゆく妻(秋野 暢子)は、しかし実は(家出のふりをして)押し入れで丸くなってたりするんよね。
どちらにしても。
妻の「表現」が切ない。

▲夫婦にしろ、親子にしろ「ゆるす」「ゆるされる」ことのむずかしさを思う。
以前 ここに書いた『シズコさん』(佐野洋子著)について、角田光代さんが佐野さん母娘の愛憎にふれて『ゆるされること、ゆるすことがどんなにきれいごとでないか、どんなに長い道のりの先にあるのか、思い知らされる』と書いてはったけど。(『波』08.5月号 「ゆるされ、ゆるす」
家族とは一人一人の歪みを、時に責めたり、責められたりしながらも、互いに補い合っていくしかないんだろうな。そして、つまるところ、「かぞくのひけつ」は やっぱり「あい」やろか。(漢字にするのはちょっと気恥しい)

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by bacuminnote | 2009-02-11 11:29 | 本をよむ