いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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賑わう町にも、しずかな町にも。

▲ この間 今年最後の鍼灸をしてもらいに出かけた。電車の乗り換えの時間を入れても30分ほどの道中ながら、日頃は徒歩にて駅前に(スーパー・デパート・各種店舗・図書館あり)行くのと、バスにて義母のホーム行き・・・と、行動範囲の狭いわたしにとって月に二回のたのしい「おでかけ」である。

▲ 電車は途中大学のある町を通るので車内は学生が多く、隣に座ると聞こえてくるバイトや恋の話。開いてるノートや本、ヘッドホンから漏れる音楽もシンセンだ。(おばちゃんが何をうきうきしてるねん、と思われているかも)
けど、残念ながら今は冬休み。少しのあいだ車内はしんと静かだったが、次の駅で乗って来はった高齢の母娘とおぼしき二人がこれまでのジンセイを熱く語って、語って。ほんま 電車の中にはいつも物語がいっぱい詰まってるなあと「つづき」がちょっと気になりながら(苦笑)下車。
 
▲ その日は別の用事があって、施術を受ける前に駅前の市場を通り抜けたんだけど。寒風の中、その活気と熱気には いきなりノックアウトされる。道の両側の店はたいてい通路まではみ出す商品陳列。ショッピングカーに、押し車、ベビーカー、歩く人、小走りの人、その合間をぬってチリンチリンと忙しなくベルを鳴らして自転車が走ってゆく。ええなあ、ええなあ。この空気。なんかわくわくして、つめたい風で強張ったほっぺたがどんどん緩んでいくのを感じる。

▲ 八百屋に魚屋からは「安いで、安いで。さあ、買(こ)うてや。こうて」のイキのよい声がかかり、肉屋の前では香ばしいにおいがぷんぷん。コロッケ、牛カツ、メンチカツ!豆腐は水の中でぷかぷか浮かび、黒豆、鶴の子大豆、小豆に花豆・・・お豆さんは昔ながらの升で量り売りだ。鰹節にイリコ。味噌屋に餅屋にパン屋。居酒屋、パチンコ、純喫茶があって。婦人服に紳士服。靴屋に薬局。散髪屋に化粧品店。布団屋のとなりは映画館だ!「さあ来てや、来てや。何でもあるで~」とおばちゃん(←わたし)は、街頭に立って呼び込みしたいほどで。その後の鍼灸もあって、元気がからだをかけめぐる(笑)状態にて帰路についた。

▲ 最寄りの駅に着いたらそれなりの賑わいはあるものの、あの空気に比べたら静かなモンで何か物足りなく感じた。
そして、その翌朝のこと。友だちのブログ 『加藤わこ三度笠書簡』を見たら、ジッカの隣町の商店街の写真が目にとびこんだ。撮影の日付は12月の第一日曜である。だれもいない、だれも通らない、どの店にもシャッターが降りた、その閑散としたさまを写真は哀しいほどにうつくしく捉えている。カメラの持ち手のこころが 近くで生まれ育ったわたしにもじんと伝わって泣きそうになった。

▲ 子どもの頃、この隣町はわたしやわたしの育った町に住む人たちにとって「ちょっとした繁華街」で。ウチの近くには置いていない本や参考書、レコードも、友だちの誕生祝いに贈るしゃれたモノも。お年玉や何か特別なお小遣いを貰った時など、電車でみっつ向こうのこの商店街に喜び勇んで行ったものだ。
とりわけ本屋さんは目を瞑ると、どのあたりにどんな本が並べてあったか浮かぶ。ここは本も参考書も品揃えが豊富で、来るとあの本、この雑誌、どれにしようと迷うこと、迷うこと。ようやく決めて、入り口近くの椅子に座ってはるおっちゃん、おばちゃんに本を渡すと決まって「あんたは本が好きなんやなあ」と声をかけてくれはる事もうれしかった。

▲ 毎年二月にはわたしの町の「上」の市、かの地は「下」の市と「初市」があって、夏には花火大会と灯篭流しがやっぱり両町にあって賑わった。ガッコの児童会ではその日のお小遣いの取り決めと同時に「子どもたちだけで隣町の『初市』『花火大会』には行かない」という規則もあったっけ。隣町のほうがどちらも規模が大きく人出も多かったからだ。

▲ 再びインターネットの写真を眺め、かつて憧れた人が老いて独り佇むのを見てしまったみたいなきもちになっていたら「三度笠」さんの『さりとてなにもないものは 案外しぶとい』の一文。ふかく頷く。そうか、そうかもしれん。だとしたら、どうかゆるゆると、しぶとく残っていてほしい、と思うのだった。

▲ ああ、年は暮れてゆく。賑わう町にも、しずかな町にも 。
掃除も、賀状も、お正月の支度もまだ。
「まだ、まだ」だらけやけど、まずはいっぱいいきますか。
『その前に一本つけよ晦日蕎麦』(鷹羽狩行)

今年もかわりばえのしない「baku的日乗」におつきあいくださって、こころから おおきにです。
みなさまも佳き年をお迎えください。
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by bacuminnote | 2009-12-31 12:27 | 出かける | Comments(0)