いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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「ことばの箱」

▲ つめたい雨。しずかな朝。梅雨冷え。熱めの珈琲がのどを通り 下ってゆくのを感じながら、庭いっぱいの白十字と雨に濡れて一層みどり濃いその葉っぱを眺める。ちょっとの間そうしてたら、前夜ネットでみていた首相官邸前集会の声が耳の奥でこだまして、ひとり声にだして言うてみる。
サイカドウハンタイ!サイカドウハンタイ!再稼働反対!
(11000人もの人たちが集まったそうやのに。どこにも報道されなかったらしい。そして今日(15日)『政府は十分な安全政策を取らないまま、裏打ちのない首相の「安全宣言」によって再稼働を強行した』~web東京新聞6.15 14:00~)

▲いろんなことを思ったり、考えたりしながら、ぬるくなった珈琲をもう一杯。湿気てひんやりした座布団にぺたんと座り母にはがきを書いた。
病室に宛てて書くたよりは自分のための鎮静剤みたいなものかもしれない。
「お見舞い」というのが苦手。そんなの得意な人なんか いてへんやろけど。
おしゃべりなわたしは「沈黙」がこまる。だから、何かしゃべらないと、とか。何かおもしろいこと言うて相手を笑わさんと、とか。ついつい思ってしまうから。

▲黙っているのは気詰まりだし、しゃべったらしゃべったで、相手の方が疲れはったかもしれないと落ち込む。いや、けど、もしかしたら退屈してるかもしれん。いやいや、しんどい時にしんどい顔を見られるのは嫌かも・・・そんなことをぐるぐる考えてるうちに、ぐったりして。ああ、ここでしずかにその人のことをおもっていよう、と抽斗からポストカードをとりだす。

▲ この前ここに書いた『トリエステの坂道』に心に残る場面がある。それはトリエステ生まれの詩人ヴィルジリオ・ジョッティ(1885-1957)の『用途のない備忘録』という日記からの話だ。
ジョッティは息子がロシア軍に捕らえられて、収容所で肺炎にかかって死んだ、ということを戦友だった男からの手紙で知る。それは息子の死から三年もたってからのことで、妻はそのこともあってか精神を病み家にいない。訃報から一年たったあるとき、街でおなじく詩人の ウンベルト・サバを見かける。

▲『会ってしまったら、通りいっぺんの挨拶ではすまない。向こうだって、きっとそう思うだろう。「そうしたら、なにをどう言えばいいか、私にも彼にもわからないに決まっている。たぶん、無意味な、心にもない言葉をかわしただろう。どうしてもそれを避けたくて、とっさに身をかくす建物の入り口か店がないかとあたりをみわたした。ところが、ほっとしたことに、サバのほうが、あの緑のジャケットを着た彼が、チーズ屋にとびこんでくれたのだ。私を見かけたのだったか。そう思う。こちらのせいで、サバは、思ってもみなかったチーズかなにかを買うはめになった。」』(『トリエステの坂道』ヒヤシンスの記憶~より抜粋)

▲ 行ったこともないトリエステの街並みと、ふたりの詩人を想像する。お互い視界に入った相手をそれぞれに思い、同じように身を隠すことをかんがえて。
ことばをいっぱい持ってるふたりだけど(だからこそ?)とっさに取った行動がおかしくて、温うて、せつない。
ほんまに、ことばって何なんやろね。
『オール・マイ・ラヴイング』(岩瀬成子著)にも、そんなことばへの思いが語られる場面があった。

▲『カラスが斜め樹の上に二、三羽止まって、かわりばんこにカアカアカアと大声で鳴いていた。 カアカア。口のなかでいってみた。いつも大事なときには言葉が役にたたない気がする。どうしてもいいたいことがあると思うときにかぎって、言葉の箱が空っぽになっている。日ごろはそんなことは思わないのに、誰かと向きあったりすると、箱が空っぽでなにもいえなくなる』(p59)

こちらは思春期の子。ほんとうとうそ。ことばの前でしゃがみこむ少女のつぶやき。もはやその頃からは遙か遠いとこまで来てしまったわたしもこころから共感。そして今 ここでも外でカラスが鳴いており。わたしもカアカアないてみる。





* 追記 

その1
岩瀬成子さん新刊『なみだひっこんでろ』(岩瀬成子 著・上路ナオ子 絵 岩崎書店刊)を読みました。ひとつちがいの姉妹の、70ページほどのみじかい物語ですが、ほんま、岩瀬さんは子ども(とりわけ女の子)のことばにならんようなぐちゃぐちゃとした(苦笑)思いを書かはるのがうまい。
あ、今回書いた『オール・マイ・ラヴイング』のことは前にもに。
姉妹もの~ってことで思い出した絵本→『ぺろぺろキャンディ』も、すごく、とってもいい絵本でした。


その2
ここんとこ くりかえし観て(聴いている)フラメンコギターとチェロ。父子だそうです。すばらしい。ああ、チェロ!(←すき) Pedro Soler And Gaspar Claus この"Tiny Desk Concert "というシリーズ?の中にはDaniel Johnstonも~

この元サイト"npr music"は以前 livroさんに教えてもらって以来よくみ、よくきき、よくたのしませてもろてます。おおきに。
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by bacuminnote | 2012-06-17 11:39 | 本をよむ | Comments(0)