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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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一冊の本が。

▲十日ほど前には雪が降ったのに。
ここ数日の陽気というたら。まだ、もう一回くらい寒くなりそうやけど。ほったらかし庭(あいかわらず・・)の木瓜の紅い蕾も花蘇芳(はなずおう)の濃いピンクの蕾も少しづつやわらかくなって。ああ、じき春やなあと思う。
昨日はとうとうブラウスとカーディガンで買い物に出た。時々つよく吹く風もすっかり春のそれで迫力がない(笑)

▲だからか、道端にちっちゃなソックスが落ちてるのを二度も見かけた。
ぽかぽか日曜の昼下がり〜ベビーカーの子どもが足をこすり合わせるようにして、するするソックス脱いでるとこが浮かぶようで頬がゆるむ。
ぷくぷくの素足をベビーカーのバーの上にでーんとのせて、きもちよさそうに寝入ってるちいさなひとを見ると、ふんわりしあわせな気分になる。
「をさなくて昼寝の國の人となる」(田中裕明)という好きな俳句がある。
もっとも「昼寝」は夏の季語らしいけれど。春は子どもも大人もあくびと居眠りの季節だ。この間から何べんも横断歩道で信号待ちの向こう側〜大あくびの人を見かけるもん〜オツカレサマ。

▲ さて、買いもんの前に図書館に予約本が届いたので借りに行く。
この間から自動貸出システムとかいうのが始まり、わからなくておろおろしてはる年配の方に図書館員さんが横に立って説明してる。歳とってから新しいこと覚えるのは大変。「そうか〜」「ややこしいなあ」「かなんなあ」という声がもれ聞こえて、思わず「ほんまや!」と共感の声をあげそうになる。

▲ たしかに機械相手だったら「恥しい本」(ん?)も平気だ。(つまりプライバシーは守られる。)一冊づつバーコードを通さなくても、そこに借りたい本を重ねて置いただけで一瞬で全冊「読み取る」って、すごい!早い!
でもね、これ、なんとかビーム(苦笑)が出てるんちゃうやろか。なんか気になるなあ〜。
本を借りる時も返す時も、カウンターで館員さんとちょっとした挨拶や笑顔をかわしたり。本が人と人の間にあるのはええなあ、とつねづね思ってる。
検索や予約はコンピューターが入って、ずいぶん便利になったけれど。
ううむ。やっぱり「本の森」にマシンは似合わへん、と思うなあ。

▲ この日、カウンターの図書利用カードを作るコーナーで、4〜5歳の女の子が両親と一緒に「じぶんのカード」を作ってもらってるのを見かけた。館員さんから渡されたカードに「やったぁ!これで自分で借りれるんだよね」と小躍りして、さっそく子どもの本のコーナーに走る女の子。
お母さんもお父さんも「よかったねえ!」「すごいねえ!」と一緒に喜びあってる姿がほほえましかった。

▲遠い日、息子らがそれぞれ図書カード作った日の得意そうな笑顔を思い出して。そばで見ていたわたしはうれしくて、女の子と一緒に走り出したくなるようやった。
ああどうか、これからも本の世界は誰からも、何ものにも、じゃまされることなく、自由であってほしい〜と、入り口に掲げられた『図書館の自由に関する宣言』をあらためて眺める。

▲ この間『お手紙レッスン』という本を読んだ。P143の薄い本だからすぐに読み終えたけど、しばらく豊かなきもちの時間をすごす。本でも映画でも。読み(観)終えたあとのこういう時間がすきだ。
9歳の男の子マックスはおじさんにD.J.ルーカスという人の『でっかいいじめっ子なんかこわくない』という本をクリスマスにもらう。これがとってもおもしろかったので有名作家である著者にファンレターを出すんよね。

▲ で、その手紙にD.J.が返事をくれて、二人の文通が始まる。
マックスは「大きくなったら作家になりたい」って少年なんだけど《どうやって書きはじめたらいいのかわかりません。おかしくて、いろんなことがおこって、おもしろいキャラクターがたくさん出てくる話にしたいと思ってます。手をかしていただけませんか?》なーんて書く。一方D.J.も行き詰まっているときに、マックスとのやりとりでアイデアが湧き出したり。会ったこともない40ほど歳の差のある二人が創作について、家族や友だちのことを語り合う。この本はその書簡集だ。

▲ ふたりの手紙を読んでると、マックスの学校でのいじめのこと、自身の病気や亡くなったお父さんのことなど少しづつわかってきて。最初うすぼんやりとしたイメージだった二人の姿が、だんだんピントが合ってきたみたいに、近く感じるようになる。
そうして、最後は二人それぞれの作品を仕上げるんよね。
そうそう、本の表紙にD.J.ルーカス作と書かれた下に(AKAサリー・グリンドリー)と意味不明の表記があったんだけど。訳者千葉茂樹さん(この方の翻訳本はすきな作品が多いです)のあとがきによるとAKAとは「別名」のとか「またの名は」という意味のことらしい。つまり、この本はマックスとのやりとりをD.J.(最初ルーカスって名前から男性かと思ってたら、女の人だった!)が本にしたという体裁になっているわけ。

▲ 自分のお気に入りの本の著者に手紙を書く、と言ったら、この間観てきた映画『きっと、星のせいじゃない』の中にも、主人公の二人がアメリカから、自分たちの好きな本の作家のいるオランダまで会いに行く話が登場するんよね。(この映画〜原作本『さよならを待つふたりのために』がとてもよかったので、どんな風に描かれているのか気になって観て来ました。あ、この本については以前ここに書きました )

▲ そうだ!わたしもまた前に作家に手紙を出してお返事をもらったことがあるのだった。(そのときの顛末はここに書きました)昔は本のうしろに作者の現住所が載ったりしていたもんだけど、今はもうそんなことはどこにも書いてないので、わたしは出版社宛ての手紙に同封して、作者に渡してほしい〜とお願いしたのだった。その方(装丁家の坂川栄治さん)がわたしへの手紙に書いてくださったことはいつまでも忘れられない。ああ、やっぱり本は人から人に手渡されるものであってほしい。

《一冊の本が送り手と受け手をつなぎます。まさにこの手紙がそうです》
(坂川さんの手紙より)

*追記
これ書いてるあいだに、温い→寒いになりました(泣)
今日も昨日のつづきみたいな格好で出かけたらめちゃ寒かった。

その1)
『きっと、星のせいじゃない』予告編(例によってあえて英語版です。)→ 

これとは全くちがう世界なんですが、ずいぶん前に読んだ『悪童日記』→(アゴタ・クリストフ作 / 堀茂樹訳)〜とても印象深い作品だったので、映画化には関心があって観ました。
映画『悪童日記』予告編

その2)
古い本を整理してて見つけた(つまり、本の整理はこれでストップした・・苦笑)
『資本主義って何だろうか』→(リウスの現代思想学校3/山崎カヲル訳/晶文社1982年刊)リウスはメキシコの漫画家。表紙の子どものフキダシに「買うことが生きることなの?」にギクリ。もう絶版みたいなので図書館ででも。


その3)
日曜日の昼下がり〜というたらこれ。
Randy Newman - Dayton, Ohio - 1903→
by bacuminnote | 2015-03-23 16:49 | 本をよむ