いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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会ひたき人に。

▲久しぶりに母の顔を見に。
母の体調、わたしの足調(苦笑)、温くうなってから、涼しいなってから、とか何とか。お互いにいろいろ言うてるうちにあっという間に半年(以上)経ってしまって。
しょっちゅう電話で長話してるしね、そんなに時間がたってるとは思いもしなかったんだけど。
今回はわたし以上に「おばあちゃん」に会うのんは、ひさしぶりの息子2も途中合流しての吉野行きとなった。

▲「秋晴れや会ひたき人に会ひに行く」(西村麒麟) ~なぁんて思ってたのに、この日もあいにくの雨。
しかも家を出るときはけっこう強い降りだったけど、ジッカのある駅近くになると、灰色の雲と雲のすきまから少ぅし青空が見え隠れし始めた。
近鉄特急は吉野に近づくと、カーブの多さもあってキューガタンガタンと、特徴のある電車の音が響くんよね。線路際にも、線路内にも、彼岸花の束がぽつぽつ~敷石の茶色や灰色に、彼岸花の赤が妙に映えて、そのうつくしさにどきっとする。
駅に着くと、迎えに来てくれた姉が車から降りて「こっち、こっちやで」と大きく手を振ってる。 Y姉ちゃん、ただいま~。

▲川沿いの道を走りながら、前回ここに台風のことを書くのに、ネットで見た伊勢湾台風の被害の写真を思い浮かべてた。
あのころ(というかわたしの子どものころ)から思えば、うんと水量の減った吉野川は、川原がどんどん広くなって。ああ、この橋もあの橋も崩壊したんやなあ~と改めて、しずかで寂れた感じの川に見入る。

▲お昼は息子とふたりで、焼き鮎ずしとおかいさん(茶粥)を食べた。
ふたりとも好物の焼き鮎ずしはもちろん、久しぶりのおかいさんがしみじみと旨かった。
ふだんは無愛想な息子やけど(!)このときは終始えがおで、何べんも「うまい」「おいしい」と言い合うては、おかわりした。

▲ウチにもかつて母が縫ってくれたサラシの「ちゃんぶくろ」(茶袋)がある。いま吉野に住んでる人たちだけやなくて、郷里が吉野の人はどのお家にもあるのとちゃうかなあ。
この袋に番茶(粉茶)を入れて炊き出すから、使うごとに深いええ茶色に染まるんよね。息子が小さかったころもよく拵えたっけ。
子どものころから食べてきたもんの記憶って、ふしぎやね。長いこと食べてなくて、すっかり忘れてても、口にすると一気にからだじゅうのスイッチ入るみたいな。
また、ちゃんぶくろ出してきて拵えよう。

▲家に入ると、母が立って迎えてくれた。きっと今か、今かと、待ってたんやろね。
息子2は母が70のときに誕生したラスト(!)10人目の孫で。お産のあと厳寒期の信州・開田高原に、しばらく手伝いに来てくれたときのことは、今でもよく母の話にでてくる。
曰く、えらい寒かったなぁ。-20℃越えた日もあったなあ。雪もすごかったし。薪ストーブのそばから離れられへんかったなあ・・・。(←思い出のほとんどが「寒かった」~よっぽど堪えたんやろね)
48で初めて「おばあちゃん」になってからも、母はつねに、ずっと、先頭に立って仕事して来たから。なかなかできなかった「孫の沐浴」もこの子のときには毎日してくれたのだった。

▲ふだん電話でしゃべってると、頭も口も冴えわたってるけど(苦笑)、じっさい会うてみると「会わなかった七ヶ月分」母は歳をとっていて。ちょっとせつなかった。(もっとも、わたしだってプラス七ヶ月分だが・・)
部屋に入ると、作ったもの書いたもの描いたものが一杯あって。
ふと、棚のところに貼った半紙が目に入る。書道のすきな母がいつも何か書きつけていて、たしか前に来たときは芭蕉の俳句だったんだけど。

▲今回は、また新しく書き直したみたいだ。
ん?あれ?これ、どっかで・・・ひゃあ!!そして、ごていねいにこの駄句の作者の名前まで最後に書いてあって。
前に電話で「わたし今日こんなんつくってん」てな感じで、調子にのって言うたんやろけど。まさかそれを書き残してたとは。まさか芭蕉大センセのあとに、こんなもんが登場するとは。びっくりしたなあもぉ。
なんちゅう親バカぶり(苦笑)。ほんで、もうほんまにあほらしすぎて、大笑い。

▲わたしが姉フウフとしゃべってる間、母は孫に漢字ドリルを見てもろて。(母の方が息子よりよう知ってると思うけど・・)それから息子のガッコの話をうんうん頷いて聞いている。若い子の話聞くのが好きやからね、母のうれしそうな顔をちらちら見て、わたしもうれしかった。

▲とはいえ、母に会うたら、あれしよう、これしたろ~と思ってたこと、いっこもできんまま電車の時間がきてしもた。帰りは義兄が駅まで送ってくれることになって、外に出たら雨がぱらぱら降り始めてた。
車窓からみえる川と辺りの山々が黒くさびしくて、わびしくて。そんで、きれいやった。
おおきに。また(帰って)来ます。つぎは晴れた日に。




*追記
その1)
息子とは会うなり、この間観た映画『怒り』の話に。そもそも、こわがりのわたしが殺人事件をもとに・・とかいうストーリーそのものが、ふだん観ない映画のジャンルなのですが。
パンフと原作本(上下二巻)持って来てくれたので借りて、帰り、息子が別の線に乗り換え、一人になってから読み始めました。

映画を観たあとに原作本読むのと、本読んでから映画観るのとでは、おもしろさがちがうよね。
監督がどの場面をカットしたのか、ふくらませたのか、とても興味深く。この上下巻の長編を一本の映画(それでも2時間20分と長いですけど)にまとめる力もセンスも。出演者の演技ももみなすごかったし。もちろん、すべての基になってる原作の(ことば)の力も。
何を今更と言われそうやけど、いろんな「表現」が詰まった「映画」の世界を、あらためて思いながら読んでいます。

『怒り』は東京、千葉、沖縄と三ヶ所でそれぞれのストーリーがあるのですが、どれもが一話でも作品として成り立つ深さがあり。そのどれもが底に怒りや痛みが在って。知らんふりができなくて。おまえはどうなんだ?と突きつけられてるようです。
とりわけ沖縄編のことは今もなお。

帰途バスの車窓から見える景色が、行きとちがって見えたのは、時間の経過だけやなくて、映画を観たあとやからやね。
長時間おなじ姿勢で座ってると膝と腰が堪えることもあって、いつもはDVDやけど。
映画館の帰り道のような時間は、映画館に行かないと得られへんよなあと思いながら。
また、行ってみよう。(ところがバス一本出いける映画館にはわたしが観たいのんが、なかなか掛からへんのです~無念じゃ)

その2)
『選んだ理由』(石井ゆかり著 ミシマ社刊)→
石井ゆかりさんによるインタビュー集。
【どういう仕事に就くか、誰と一緒に生きるか、どこに生きるか、どう生きるか、誰もが、人生で幾度も選択を重ねていく】(同書p3より抜粋)

一番印象に残ったのは写真家の「吉田さん」(Akihito Yoshida→)の巻。

【多くの人が、「やりたいこと」を探す。「何がやりたいか解らない」と悩んでいる。でも、本当に見つけていなければならないのは、「やりたくないこと」なのかもしれない。自分の中の「NO」を知っていることが、羅針盤となることもあるのだ。】(同書p132より抜粋)

番外編いれて8人の「選択」を、わがジンセイの幾度もあった(苦笑)選択期を思い出しつつ、おもしろく読みました。


その3)
今日はこれを聴きながら。
Gallo Rojo - Sílvia Pérez Cruz→
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Commented by hasikkoami at 2016-10-02 21:56
読んでから観るか、観てから読むか、って印象がまるで違ってきますよね。
私は観る予定の作品の場合は
出来るだけ原作は読まないようにしています。
(たまに誘惑に負けて読んでしまうこともあるけれど・笑)
「怒り」は私も観ましたが、簡単には消化出来ない作品でした。
原作の方もこれから読みたいと思っています。
Commented by bacuminnote at 2016-10-02 23:30
■amiさん。
>私は観る予定の作品の場合は出来るだけ原作は読まないようにしています。

おお、そうでしたか~わたしはそのへん場当たり的かもなあ(苦笑)
そうそう。
このまえamiさんちにコメント入れたのですが。ちょっとして読み返したら、何かちがうなあ~といったんカットして(ややこしいことしてすみません!)考えてるうちに混乱してしもて。ええい、もう自分のとこに書こう(苦笑)と思ったのでしたが。やっぱり、まだわからないとこもあるし、思いも考えもまとまらず・・・。問題提起の大きい作品でした。
先に観て、読んだ、息子は映画のほうがすごい~と言うてましたが(原作にないシーンなどもふくめ)
どうやろなあ~と思いながら読んでるところ。吉田修一は『パーク・ライフ』以来です。(あ、映画は『悪人』も観ました)

Commented by hasikkoami at 2016-10-03 08:20
>このまえamiさんちにコメント入れたのですが

何と!それは残念^^;
でも確かに色々考えさせられ過ぎる作品ではありましたね。

>息子は映画のほうがすごい~と言うてました

ほほ~!私はこれまで原作を超えたと思う映画には出会ったことがないので
(このシーンは映画の方がいいな、と思うことはありますが)
息子さんのその言葉は興味深いです。
Commented by bacuminnote at 2016-10-03 11:53
■amiさん
かれの評価はおもに沖縄編なんですが。わたしはまだそこまで読んでないので・・・。
と、言いつつ、じつは途中でブレディみかこさんの新刊本を貸してもろたので、今そっちに移行してしまってます^^;(すまん)

原作と映画化というたら、わたしは湯本香樹実さんの『ポプラの秋』が大すきで、去年だったか映画化と聞いてたのしみにしてたんですが。
キャストみて、予告編観てううむとうなり・・。この作品がものすごくすきやから、観ないでおこう~と思ってたのですが。
監督もこの本が大すきで(映画を撮る話がでる前から)何度も何度も読み返してた~とインタビューにあったの思いだして、やっぱり~
と本編観て。思わずもう一度本を読み直しました。当たり前やけど、おなじ「すき」でも、自分に引き寄せ方が、読者の数だけあって。
「読む」という行為の受けとめ方の広さも深さも、もしかしたら「観る」以上に個人差があるなあと(これまた、何をいまさら~かもですが)あらためて思ったのでした。
by bacuminnote | 2016-09-30 23:42 | yoshino | Comments(4)