いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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食べ物の いいにおいがすること。

▲夜中に何度も目が覚めるのは歳のせい、とばかり思っていたけれど。この間から「おこた」を入れたら、時々寝過ごしてしまうほどよく眠れるようになった。
朝夕にはストーブも点け始めたし、ニットも肌に馴染んで、熱いお茶がしみじみ旨い。

▲もう「秋仕舞う」頃?いや、もうちょっと居てよね~とか思いながら、一昨日ようやっと扇風機の羽根やカバーを洗って片付けた。
ウチは夏の間エアコンをほとんど使わないかわり、新旧混ぜてぎょうさんある扇風機は、あっちこっちで文字通りのフル回転(笑)
物入れから調子にのって次々出してきては、毎年この時期にため息をつくことになるのだった。

▲そういうたら、寒くならへんうちに障子の張替えもするつもりやったし、たまりにたまった本類・紙類の整理も、要らんもんも片付けて・・・と、暑くなく寒くなくの秋はいつも予定満載なんだけど。
自分のすきなことなら行動早いわたしも「さしすせそ」(探す・仕舞う・捨てる・整理・掃除)は「明日しよう」「また、こんど」と延期と休憩を繰り返したあげく「まあ、ええか」で、越年というパターンだ。(あ、この↑「さしすせそ」はさっき思いついて書いたけど。いまネットでみたら「家事のさしすせそ」というのがあって。曰く「裁縫・躾・炊事・洗濯・掃除」ということやそうです。ううむ~どっちの「さしすせそ」も苦手なり。ていうか「躾」って何なん?)

▲そんなスローペースなわたしとは反対に、街は年々せっかちになって。クリスマスに年賀状、おせち予約に(これは10月から始まってた!)、今日は美容院の前を通ったら「成人式着付けご予約は早い目に」と書いてあった。
むかし(←1973年のことやったらしい)「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」という交通安全の標語があったっけ。
ハロウィンやクリスマスやお正月や~と相変わらず商業主義に踊らされるのもつまらんけど。それより、何より原発再稼働、沖縄の米軍基地、TPP 、あれもこれも。この国はどこにむかって急いてるのか。こわい。

▲この間『へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々』(鹿子裕文著・ナナロク社2015年刊)を読んだ。
どんな本かもよくわからへんまま、いかにもスローなにおいのする「へろへろ」と「ヨレヨレ」というタイトルに、表紙カバーの絵(奥村門土君という少年が描いたらしい)と、「そで」にあった一文
【根拠なんか別にない。ただ、やれると思う気持ちがあるだけだ。 新しいことはいつだって、無謀で無計画で、前例がなくて保証がないところからしか生まれてこないのだ。】 に、ひっぱられて手にとったら、これがもうおもしろくて一気に読了。

▲著者はこの宅老所の職員でもなく、介護の世界に詳しいライターというのでもないらしいが、ひょんなことから「宅老所よりあい」の村瀬孝生という人に会って仲良くなって、知らず知らずのうちに世話人会のメンバーになり、やがては雑誌『ヨレヨレ』を作る人になったらしいんだけど。

▲「よりあい」は最初マンションにひとり住む何かと問題の多い、しかし夫亡き後も気骨一本「毅然として、ぼけた」ばあさまのケアをどうするか、ということから始まる。
【なぁんが老人ホームか!あんたになんの関係があろうか!あたしゃここで野垂れ死ぬ覚悟はできとる!いらんこったい!】と激しく言い放つばあさま。そして、そうと聞いては放っておけない介護専門職の下村さんと仲間たち。

▲が、マンションの一室という閉ざされた空間で展開される「一対一の関係性」ではなく、もっと開かれた世界を~と、下村さんたちは
ばあさまの新しい居場所を探すことになる。
ところが、どこも「そんな超ものすごいばあさまじゃ困りますね」「他の利用者さんにも迷惑です」と門前払いされるしまつ。

▲「ああ、もうわかった!もう誰にも頼みゃせん!自分たちでその場ちゅうやつを作ったらよかっちゃろうもん!」と、イカル下村さんは
お寺の茶室を借りてのデイサービスをスタートすることになるんよね。そこで、お寺に目をつけた下村さんもナイス!と思うけど、快諾しはった伝照寺というお寺さん(浄土真宗本願寺派)も、すばらしい。そういうたら、もともと寺院って布教の場だけやなく、地域の福祉、文化、教育の拠点を担う場でもあったんよね。

【制度があるからやるのではない。施設が作りたいからやるのではない。思いがあるからやるのではない。目の前になんとかしないとどうにもならない人がいるからやるのだ。その必要に迫られたからやるのだ。それは理念ではない。行動のあり方だ。頭で考えるより前にとにかく身体を動かす。要するに「つべこべ言わずにちゃっちゃとやる!」なのだ。】(p17より抜粋)

▲これだけでもすごいなあ、と思うのに、お寺からこんどは住宅街の民家に場を移してグループホーム、やがては、住み慣れた地域で「ボケても普通に暮らせる」施設づくりに、乗り出すことになる。
なんて書くと、次々新たな目標を掲げて邁進、みたいやけど、いずれのときも、次を目指して動いたわけじゃなく、そうせざるを得ない状況になってゆくからで。

▲しかし、こんなふうに切羽詰まって動くときも、終始「正義の味方」ヒーロー風でないとこが「よりあい」のええとこやなあと思う。博多弁のもつ魅力もあると思うけど、著者をふくめ、介護の世界にまるで無縁だった人たちまでどんどん巻き込んでゆくパワー(その源は、高齢者ケアとかいうんやなくて、人間への愛やとおもう)と、笑い、はちゃめちゃぶりが、おもしろくて、そんで温かい。

▲常時資金不足の「よりあい」にあるとき、ドキュメンタリー番組の取材依頼と新聞連載のオファーが村瀬さんのところに来て、著者は世話人会で「これに飛びつかない手はないんじゃないですか」と発言するんよね。
テレビに新聞ときたら、寄附の申し出もたくさん来るだろうし、いいことづくめじゃないか、と思うのだが。下村さんはぴしゃりと言う。
【世の中には、もらっていいお金と、もらっちゃいかんお金がある!】(p110)

▲またあるときは、資金集めのバザーがおわってその売上金の入った袋を持った著者に、こうも言う。
【ね、重かろうが。小銭はホント重いっちゃん。でもこれがね、お金の重みなんよ】(p265 )
「もらっちゃいかんお金」をあちこちで仰山もらい、市民の税金の「重み」もわからず浪費する政治屋たちに聞かせたい台詞だ。

▲新しく建てる施設はどういう建物がいいか、みんなで何度も話し合う中で、大事にしたいのは【管理と監視から自由であること。支配と束縛から無縁であること】(p196)とあって。
これ、特養に限らず、施設や学校でも、、ひとが暮らしてゆく上でほんまに大事なことやよね。
そうそう、わたしが一番ええなあと思ったのはキッチンをどうするかという話。「食べる」は「生きる」の基本やからね。それでも、求めてるものは、ごくあたりまえの、ふつーのウチの「だいどこ」と一緒だ。

【作る人の顔がちゃんと見えること。何を作っているのか、のぞきに行きたくなること。そこで会話ができること。料理をする音が聞こえて来て、食べ物のいいにおいがすること。ちょっとつまみ食いがしてみたくなること。そして、そこで、笑えるひと悶着が起きること。】(p205)

▲それにしても。
こんなあたりまえのことが「効率」という名のもとに、あたりまえじゃなくなるのは、どう考えてもおかしいよね。
みんな歳とってゆくのに。できないことがふえてゆくのに。本来、国や行政がやるべきことを、「へろへろ」になって薄給で、やってくれる人に押し付けてるのは、おかしいよね。


【思えば、「自己責任」という言葉が「老い」という不可抗力の分野にまで及ぶようになって以降、人は怯えるようにしてアンチエイジングとぼけの予防に走り出した。
のんびり自然に老いて、ゆっくりあの世へ行く。それを贅沢と呼ぶ時代が来てしまったのかもしれない。とにかく国は生存権に帰属する介護問題を、サービス産業に位置づけ、民間に託して解決を図る道を選んでしまった。
その結果、畑違いの企業、たとえば不動産会社や建築会社、居酒屋チェーンまでもが、介護事業に乗り出し始めた。その政策はもう後戻りすることはないだろう。すべては追加オプション式の明朗会計。介護の世界でも、それがこれからのスタンダードになることだろう。サービスとはつまり、手間という手間をひたすら金で買い続けるしかない代行システムのことなのだ。】 (p187~188)

追記
その1)
雑誌『ヨレヨレ』→も、パワーのあるおもしろそうな冊子みたいです。読んでみたい。

その2)
雑誌といえば、ひさしぶりに『Chio』を。その昔わたしが定期購読してたのは創刊のころで、当時は『ち・お』(ちいさい・おおきい・よわい・つよい)という誌名でした。たしか創刊は息子2がうまれた年やったから、息子とこの雑誌は同い年。
今回は京都の古書店・カライモブックスのおふたり(だいすき)が載ってるというのもあって購入したのですが、特集『わたしは「差別」しているの?』は、最初から最後まで、どの頁も飛ばし読みのできないものばかりで。当初のお目当てだった(!)カライモさんたちの頁までたどり着くのに時間がかかってしまいました。

久しぶりの「ち・お」は「Chio」になってたけど、あの頃と変わらず深く地味で媚びず、誌名通り「おおきい・つよい」によりかからず「ちいさい・よわい」ものへの温かい視線も。
そして「子育て」してる人たちだけの本やないことに、ほっとしたような思いで読みました。
おすすめです。

そして、なんとカライモブックスのNさんがChio 4代目編集人にならはるそうです!たのしみ!

いま読んでいる児童精神科医の石川憲彦さん著『みまもることば』~思春期・反抗期になっても いつまでもいつまでも~も、↑と、おなじくジャパンマシニストの本です。

その3)
今日はこれを聴きながら。
ドキュメンタリー『子供たちをよろしく』(監督マーティン・ベル/原題"Streetwise")
残念ながら未見なのですが(観たい!)この映画、はじめとおわりの音楽はトム・ウエイツ!
Tom Waits - Take Care Of All My Children / Rat's Theme →

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by bacuminnote | 2016-11-03 19:05 | 本をよむ | Comments(0)