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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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この家の窓から。

▲一昨日自転車で太極拳の教室に走ったんだけど、風がもう ものすごく冷たくて。とてもとても、春の風とは思えなくて。案の定 体育館に着いたら、からだが芯から冷えており。
こんな日は太極拳より温泉やなあ・・なぁんて 思いながらも いざ教室が始まると センセの動きに必死に ついて行くうちに
いつのまにか ぽかぽかしてた。

▲この部屋には天井近くにある高い窓から公園の背の高い木が見える。
その四角の大きな窓ガラスの外、雨上がりの まだ若いみどりのはっぱが はらはらと風に揺れてるのが見えて、無機質な体育館の一室にもその息吹が伝わるようで。だから その窓がよく見えるところに立つ。

▲滋賀・長野とあわせると結構長いこと田舎暮らしをしたので「アウトドア派」と思われることが多いんだけど、わたしも相方もたぶん インドア・たらり~ん派だ(苦笑)
その体育館じゃないけど「窓のむこう」を感じることのできる「場」があれば、それで結構 満足している気がする。

▲そういえば(これは以前『麦麦通信』にも書いたんだけど)'03年11月義父の葬儀がすみ、パン屋をやめると決めたあと・・・何気なく見たテレビで倉本聡氏が北海道に移り住んだ頃、ある廃屋を覗いたときの話をしていて。
事情があって夜逃げでもしたのか、ふと見た壁に「またこの家の窓から見える山が見たい」というようなことがなぐり書きされてあった・・・と。

▲その頃、夜中2時半すぎに起き出して まさに仕事場の『窓から見える山』が刻々と変わるさまを眺めながらパンを焼いていた相方が「なんか『この家の窓から・・』っていうのがよーわかるだけにツライ話やなあ」と彼にしては珍しくしんみりと言ってたことを思い出す。
どこに行っても山はあるけど。 『この家の窓から見える山』は この家のこの窓があって、のことで。
わたしもかつての暮らしを思うとき、まっさきに浮かぶのは その窓から見た山と空だ。わたしが仕事場に入る頃にはもう日が昇り始めて 濃くて深いブルーの空が少しずつ 少しずつ明るくなって。それと共にどんどん表情のかわる山々。

▲じつは、その時の倉本氏の話には続きがある。
その廃屋にはついさっきまで家族でご飯を食べていたかのような散らかりようだったらしい。
追っ手でも来て、片付ける間などなく着の身着のまま逃げ出したのだろうか?
だとしたら、壁の字はいつ書いたのだろう?・・・と、その時も相方と話し込んだのを覚えている。
きれいに片付けられた家と 食べ散らかしたままの情景を交互に思い浮かべては 壁の言葉が、ああ どっちにしても重いなあ。真偽のほどはだれにもわからないんだけど。

▲今日は 昨日まで降ったり止んだりの雨もようやく上がりきもちのいい青い空が広がっている。
バスタオルにパジャマにあれやこれや、と ほおり込んだ洗濯機の唸る音さえも なんだか春の朝にふさわしく(笑)きもちがいい。
相方と下の子は兵庫県まで美術展に。
そして、わたしは どこにも出かけずに ひとりたらり~ん と伊藤比呂美『ラヴソング』を読みながらout on the weekend ( by neil young)を聴いている。

▲伊藤さんはこの唄の一節を(彼女曰く「わたしの耳に聞こえたように、詩に書いてみた」)こう訳す。
『もう考えるのはやめて/軽のバンでも買って(数万のボロでいいんだ)/思いっきり物を捨てて/それで残ったものだけ持って/どっか行こうかな/どこでもいいから/知らないところ』ってね。 
あ、窓の向こう モノレールが走ってく。
いつの日か、また、この家の窓から見えるあの4両のモノレールを思うことがあるのかなぁ。
by bacuminnote | 2006-04-16 14:57 | 開田村のころ