そんなに 多くは ないんよね。
2006年 10月 30日
今は、もう、この未整理の荷物抜きで十分成り立ってる日常(苦笑)を思いながら、見て見ぬふりを決め込んでいる。
いやあ、ほんまに生活に必要なモンって そんなに多くは ないんよね。
▲そういえば、この間モンゴルの遊牧民の一家のお話『天空の草原のナンサ』という映画を観た。モンゴルの草原の中の一軒(というのかな)のゲル(移動式住居。よく言う"パオ"というのは中国語の呼び名"包"に由来するそうだ)に若い夫婦と六歳の少女ナンサ、それに彼女の妹弟が暮らしている。
▲ある日ナンサは母親にたのまれて燃料にする牛糞を拾い集めに行く途中、洞穴でかわいい子犬を見つける。さっそく犬にツォーホルって名前をつけてナンサは家に連れて帰るんだけど、お父さんは飼うことに反対されて・・・と話は展開してゆく。
▲だけど、ナンサの家の暮らしの中にも変化は起きている。
お父さんが町に羊の皮を売りに出かけて(バイクで!)おみやげに買って来たものは、妻にはグリーンのプラスチックの柄杓、子どもたちにはピンクの動く犬のおもちゃだった。町に住む親戚には、学校に通うためにナンサを預かってもらう話もしてきたようだし。妻に「町に出て働こうか」ともちかけたりもする。
そのころには、もしかしたら町での暮らしを選択するかもしれないし。「伝統」と「近代化」はこれからもっともっとぶつかってゆくのだろう。
▲「今」への疑問や不満の話のあとに、よく「昔はよかった」「古き良き時代」なんて言葉を聞くにつけ、ちょっと、ちょっと。古い「悪しき」時代は忘れてしもたん? と 腹立たしい気持ちになるわたしなんだけど。
監督はインタビューで「私の願いは、古いものと新しいものが互いに学びあい、それぞれを尊重しあって共生していくことなのです」と語る。
▲そう !古く「悪しき」ものは終わりにして、「良き」ものを残してゆくには、どうしたらいいのだろう。
「便利」や「簡単」には落とし穴があることを、快適な暮らしが当たり前の日々を送る子どもにどうやったら伝えていけるだろう。それに、この映画に描かれるお父さんの仕事、お母さんの仕事に、男女の役割のことも。
なげかけられた問題はいっぱいある。
▲映画の最後の方で次の場所に移動する場面があるのだが、ゲルの解体は圧巻。ここにはいろんな知恵が集まっているのだろう。(上記リンクの公式サイトの上・右端にあるゲルの絵をクリック→一家の写真の背景の左あたりをクリック→「ゲル」の文字をクリックすると、その解体のシーンが再現されている) みるみるうちに「家」はコンパクトに たたまれる。その無駄のなさに 我が暮らしを思い わたしは頭を垂れるのだった。
* 追記 *
*パン屋をやってた頃、モンゴルに住むパンのすきな若い日本人の女の子からメールをもらったことがあります。
ここまで宅配は無理ですよね?(笑)なんて書いてあって、おどろいたりうれしかったり。
当時、シカゴに住む方からもメールをいただいたあとだったので
「麦麦はインターナショナル!」なーんて自慢して回ったもんでした(笑)
*モンゴルはウランバートルに住む彼女とは その後もときどきメールをやりとりして、彼女が草原の馬にあこがれて(実際、馬乗りの案内役もしてはった)モンゴルに行ったことや、むこうでの生活、パンを焼くことなどをたのしく読ませてもらいました。わたしは食べられないから、せめて家族に・・とおっしゃってご実家にパンのご注文をいただいたこともありましたっけ。
あわただしくパン屋の廃業や引っ越しで連絡はとぎれてしまったんだけど。
*だから
この映画観ながら、ずっと w さんのことを思い出していました。
どうしてはるのかなあ?
もし、これを読んでくださってるとしたら・・・お元気ですか?パン焼いてますか?