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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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今朝のこの空色に 似合ってる。

▲雨戸を開けたら、まぶしい光とはっとするような青い空が目にとびこんできた。なんだか秋みたいな空色だ。
けど、お向かいの新築工事の、トントンと懐かしい金槌の音や「はいよ~上げ。もうちょい。もうちょい下げ~。はーいストップ」と材木を動かす音が、なんだか今朝のこの空色に似合っている。
それにしても、今日も風がつめたくて肌寒い朝だ。もう五月も半ばを過ぎたのにね。

▲昨日は久しぶりにまちに出かけた。大阪に戻って一番の変化はこうして一人外出の時間が増えたこと。相変わらずの方向音痴で無駄に歩き回ることも多いけど、一人歩きの身軽さは、たとえ道に迷う不安があってもおもしろい。
行き先はミナミの本屋さん。わたしたちのパン屋の先輩であり、家族ぐるみのおつきあいの『パン工房 楽童』さんの開店23周年!バースデイライヴ(山村誠一Live in std.)に。

▲23~24年前といえば、それが後に仕事になるなんて思いもせず、わたしは家でパンを焼いていた。(このころまでは『星野天然酵母』という酵母を使って)これがうまく窯伸びするときと、アカンときがあって。けど、まだその頃は天然酵母のパン自体手に入りにくく、資料も本もなかったので何をどう学んでいいのかもわからなかった。

▲わからんかったものの、雑でええかんげん、加えてめんどうくさがりの このわたしがパンを、家で、しかも天然酵母で、って事に、自分自身けっこう満足しており・・(苦笑) 今思えば、発酵不足で目のつまった ちょっと白っぽい焼き上がりのパンでも(なかなかやん、とそのときは思ってた)気取って?白い紙に包んで麻紐かけたりなんかして、友だちに贈ってたなあ。(ほんま、はずかしいです)

▲それでも、こころやさしい友だちや周囲のひとたちは珍しさと、そんなわたしへの「はげまし」もあってか「おいしい」と言うてくれた。ただ一人「なんで同じように焼けへんねん」と言うひとがいて。
「パンのこともなーんも知らんとエラソーに言わんといて!」と返しながら、内心わたしも安定しないベイキングをなんとかしたいと思い始めてたから。
その「ただ一人」(←相方)の指摘には、よけいに腹が立ったんよね。

▲ちょうどそんなとき、いつも読んでいた『自然食通信』という雑誌に『楽健寺』という所で天然酵母パンの講習会があると書いてあって。「これ、これ」とすぐに電話したら、ちょうど三日後に開かれるけど、もう定員一杯になったとのこと。がっかりしてたら「あ、でも当分もう開く予定がないのでいらっしゃい」と言っていただいた。

▲そしてその日、まだ小さかった上の子を大阪の義母に預かってもらって、久しぶりのわたし一人の外出。
バスや電車を乗り継ぐ中、息子と手を繋がない左手がなんだかすーすーと頼りなく、何度も後ろを振り返ってしまって「あっ、きょうは一人なんや」と苦笑した。
東大阪の小さな工場が並ぶ中に楽健寺はあって、十人ほどのその日の受講者と教えて貰いながらプチパンを焼いた。りんごやにんじん、山芋を使って自分で酵母をおこして増やす「自家培養酵母」を使ったパン焼き。楽健寺のパンは自然食品の店で買って何度か食べていたけど、この日のパンはカンゲキのうまさだった。

▲そしてこの講習でわたしはパン屋志望の一人の若い女の子と知り合い、講習後も居残って「センセに聞きたいことあるし」という彼女につきあうことになった。彼女のおかげで「パン屋になるには?」の話や、ちょうど天然酵母のパン屋を開業しはったばかりの楽童さんの話をセンセから聞くことになったのだった。
けど、そのときは、ただのつきあいで話を聞いていたわたしだったのに。

▲それから、しばらくしていつのまにかわたしにかわり、ウチのパン焼き係となった相方が、ついにはパン屋修行に、ということになり。話を聞かせてもらいに「パン工房 楽童」を訪ねた。
穏やかな雰囲気のアキラさん、おもしろいセツさん、そしてにぎやかな男の子三人。気取らず、明るく暖かくて、そしておいしいパン。「わたしたちも」という思い一杯で帰って来た。「麦麦」が滋賀県愛知川で開業したのは、その二年後だ。

▲さて、スティール・パンの名手 山村誠一さんのライヴは楽童さんの空気そのまんまで、たのしく、暖かく、おもしろくて、そしてしみじみと旨かった。手が痛くなるほどの拍手も手拍子も久しぶり。
帰途、ふと楽童さんが23才ということは、ウチも続けてたら今年ハタチやったんやなあ、と思ってちょっと感傷的になるも、道を間違わないように緊張してるうちにそれも忘れて、夕暮れの御堂筋をすたすた歩くのだった。
by bacuminnote | 2007-05-21 19:29 | パン・麦麦のころ