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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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skhole!

▲それでなくても、蒸し暑い午後に熱っぽいお方(←iBook)と向き合ってると、こっちまで熱が伝わってぼぉーっとする。シャツやタオルが物干しでゆっくり揺れてるところをみたら、風も少しは あるみたいだけど。
暑いのは苦手。
こどもの頃は、夏に運動場で朝会があると貧血を起こして保健室へ、 の常連だった。からだはほってっているのに、首筋のあたりからすーっと血の気がひくような、まるで窮屈な服を着せられたような。あのなんともいえない息苦しさは、わたしのガッコ嫌いと、どこかで繋がってる気がする。

▲昨日読んだ本に天野祐吉氏が『スクール(学校)のはじまりはスコーレ(遊び)だというのに、いまのスクールにはスコーレがない』と書いてはった。だれかにもらった古い本なので文中の「いま」は15年ほど前の話なんだけど。たぶん2007年の「いま」もそのことにかわりはない。
『で、「学び」は「遊び」だと実感できるような学校がほしいネ』『先生は「表現や学問の分野で、ちゃんと遊んでいる人がいい」ということで、一年余り「夜中の学校」としてテレビで開講したらしい。それがどんな授業になったかは知らないが「表現や学問の分野でちゃんと遊んでる人」が先生、というのはとても大事な条件のひとつだと思う。

▲先月のこと。日曜の朝、何気なく開いたタウン誌にピーター・フランクルさんの講演が近くで開かれることを知った。ピーターさんの印象といえば、大道芸人で、数学者。NHKの子どもの算数の番組「マテマティカ」に出ていたおじさん、十二カ国語が話せる人、という他は知らなかったのだけれど。案内を見たら興味深い内容だったので急遽出かけることにした。
会場に着いたら、外でジャグリングしている若い男の子がいたり、親子連れもいたけど、演題が「わたしの教育再生」ということもあってか教員らしき人が多かった。なんでわかるかというと、グループで来ている人が多くて、あっちこっちで「センセ」「センセ」の連呼だったから(苦笑)

▲最初はピーターさんの「大道芸」から始まって、なごやかな雰囲気での講演ながら、言うてはることは(「部活漬け」「部活偏重」の中学・高校への批判から、教育基本法改正に対する疑問、日本人の自己表現力の欠如 等々)なかなか手厳しくて、わくわく(笑→あとになって自分に返ってきたりするのだが・・・)するのだった。
「自分の限られた時間というのをもっと意識してほしい」
「どうでもいいこと」に時間を費やす前に30秒「いま、自分はもっとやるべきことがなかったか、考えてほしい」という話は、怠惰なわたしが50をすぎて日々痛感していることでもある。「もうあんまり(人生の)時間ないし」とひとに言うと笑われる事もあるけど、あふれるほどに元気と時間があった若い頃とはちがう、とほんまに思っている。

▲「まじめ」や「考える」がどこかカッコ悪いことのようになっている世の中だけど、ピーターさんが自分の父親のことを「かっこいい」と思ったのはその知識の深さだと言う。知識をもつことのかっこよさを父から学んだ、と。
彼は知識ということばを使ってはったけど、その意味は単なる知識というより教養というものかなあ、と思った。

▲そういえば、ここでもよく紹介しているGRAPHICATIONに『教養の再生』特集というのがあった。(いま調べたら2006年11月号)
この号の巻頭対談は木田元氏と池内紀氏が「いま教養が必要な理由」をテーマに。その中で池内氏がこんなことを言っている。
「教養とは時代に流されない的確な判断力とか生きる知恵といった、いわば人間の総合力を養うものです。だから、高学歴で教養のない人はたくさんいるし、反対に教育とは縁のない暮らしをしていながら教養の深い人もたくさんいますしね」
「権力者が教育をいじる時代はやはりよくない時代ですね。教養がない政治家ほどすぐに教育を言い出す。最初に言ったように、もともと教育と教養はほとんど関係がないし、本当は国を愛する教育より、ものごとの本質をみきわめ、流されないための教養を身につける方が大事だと思うんですけどね」(・・・書いておいてナンですが、対談の抜き書きでは話の流れが不明瞭。ぜひこの対談を読んでいただきたいです)

▲そうそう、かんじんなことを書き忘れるところだった。この日一番印象に残った事は、なんと講演が終わってからの話だ。
花束贈呈などのあと、なぜか市長が挨拶に立ったのだけど、ピーターさんに「この○○市の子どもたちが今どうやって勉強したらいいか、ひとつ即効性のあるものをお教えしていただけないか」というようなことを質問しはった。
結果より過程、じっくり考えることの大切さの話やったのに。何聞いてたん?と苦々しく思ってたら、にっこり笑ってピーターさんがこう言った。
「教育をだめにしてきたのは、教育にそういう即効性を求める行政や親なんです」「人生80年以上にもなっているのだから、知性のピークが40才くらいがベストではないか、子どもたちにはゆっくり学んでもらいたい」と。
会場の大きな拍手がきもちよかった。
by bacuminnote | 2007-07-02 17:59