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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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はじまり、はじまり。

▲一昨日はひさしぶりに電車に乗ってでかけた。
大阪市内で6時半開演のコンサートに行くのに、3時前には家を出るわたしを相方や息子に笑われてしもたけど。コンサート前に別の所でちょっと買い物もしたいし、何より超がつくほどの方向音痴だし。行き慣れない場所2つを訪ねるにはこれくらいでちょうどええんよね。
で、地下鉄の駅に着いたのが3時ジャスト。
階段を駆け下りホームの売店にて夕刊を即購入。そう、実はこの夕刊が早く見たくて、の出発でもあったのだ。

▲バッグを小脇に抱えて新聞を広げるのは、けっこう難しい。新聞も荷物も落としそうになりながら、連載小説の頁をさがす。この日 読売新聞・夕刊にてあたらしい新聞小説が始まった。(夕刊のない地域は翌4日から)
おお、あった、あった。唐十郎作『朝顔男』
挿絵は我らがうらたじゅんである。その題字にも、乾電池にすわる男や描き込まれた画面にも、いきなりノックアウトされる。

▲彼女に初めて会った18の春のその日から、数え切れないほどその作品を見せてもらってるけれど、そのマンガや絵に接して「友だちが描いたもの」ということを忘れて見入るようになったのは、いつからだろう。
この日も新聞を買うときは「友だちの絵が載ってる新聞」と思ってたのに、絵を見たその瞬間そんな思いなどどこかに飛んで、持つ手がふるえた。
会えば相変わらずじゅんはあほなこと言うて笑ぅてるけど、わたしの知らない時間、一人の時間、描いては消し、唸っては描いて。破り、また描き始めているのだろう。そうしてマンガだけでなく、去年9月にはビリケンギャラリーでの初個展・・・と、彼女はかくじつに「うらたじゅん」の世界を広げ、そして深いものにしている。

▲それにしても、あの細いからだのどこに そんなチカラがひそんでるのか、彼女
なかなかしなやかに強靱だ。子育ても親の介護も、ビンボー(苦笑)も、大病も。世に言うたいていの「苦労」は一通り経験してきてるのに、いつまでも世間知らずの少女のようにふわふわして、とぼけていて、かいらしい。
あ、けど、だまされたらあかん。目をこらしてよーく見ないと。
じゅんの世界はなつかしさや かわいさや 耳ざわりのよい言葉をこえたものをいつだって抱えているから。

▲わたしはコーフン気味にホームから「見たで!」メールを彼女に出した。
夕刊配達がまだの時間帯だったし、きっとくやしがるやろな、と にらんだから。
案の定「わあ!ウチとこはまだ届いてない!早く見たい(笑)」とソッコウ返事があって、にんまりする。
それから何度 袋から新聞を取り出して眺めたことだろう。電車の中でも、喫茶店で、コンサートを待つ間にも。自分ひとりで見てるのはなんかもったいなくて。そのへんのひと、そこらじゅうのひとに自慢したいきもちでいっぱいだったんよね。(そういうわけで、きょうはここで「自慢」することにした)

▲さてその日は
心斎橋に行って目的の店に電話して聞き、駅員さんにも教えて貰って靴やさんに到着。靴を買い(足がデカイので靴選びには苦労するが、「あほの大足、まぬけの小足、中途半端のろくでなし」なんて言うそうやから(苦笑)、どんな足でも「これでよし」ということはないらしい)その後、地下鉄で淀屋橋まで出て、二人に道を聞いてフェスティバルホールに到着。

▲最初は間違って試写会に来た人の列に並び「なんかちがう」と思って聞いたら「コンサートはむこう」とのことで。まあ、相変わらずの珍道中ながら、無事(ん?)会場に到着した。
やがて仕事場から猛ダッシュで友だちがかけつける。去年このコンサートに(←これがわたしのフルオーケストラ初体験だった)誘ってくれたのも彼女だった。
大阪フィルが奏でる『新世界』に のみこまれた夜。「また、来年も聴きに来ような」と淀屋橋駅でわかれる。
わたしにしたら とびきり上級扁@まちあるき の一日だった。



*追記
小説『朝顔男』は読売新聞夕刊にて約半年間の連載になるそうです。
上記 読売の記事中にもあったけれど、唐十郎の世界とじゅんの絵がどんなふうにからみあっていくのか、たのしみです。
by bacuminnote | 2008-03-05 17:59 | 音楽