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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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人として尊ばれる。

▲ 暑い暑いと唸ってる間(ま)に8月が過ぎてしまった。この間ニュースでこの辺りが38.1度と報じられて一瞬絶句の後、なんだかぐったり。ほんま言うと、その日は湿気がなくそれほどまでに暑く感じなかったんだけど。38度と聞いたとたん反応するわたしの正直な(単純ともいう)身体・・・。
それにしても。つめたいお茶に炭酸水。ビールにアイスクリームにかき氷。そして扇風機とエアコン。このあと、秋の体調を思うとちょっとこわいなあ。

▲そうして、こんなの中でも9月1日にはあちこちでガッコが始まって。
買い物帰り、前をゆく中学生たちが広告うちわをパタパタ仰ぎながら、だるそうに歩いてるのを見て、ふかく同情する。教室に2~3台の扇風機では、まだまだ学習できる気温やないよね。
久しぶりの友だちや、まだ終わっていない宿題、夏休みの間にあった 話したいことや、言いたくないこと。憂鬱となつかしさのうちに始まる二学期初日。

▲そのむかし、覚え始めた英語、12ヶ月の内いちばんすきだったのはSeptemberだったけど。考えてみたら、それは夏のおわりを感じることのできた遠い9月の話かもしれないな。今日もつよい光線は容赦なく、おばちゃんの肌も感傷もみごとにチリリと焦がしてゆく。

▲ 今朝 友人から仕事の休めない娘さんにかわって、熱のあとすっきりしない赤ちゃんのおせわに出かける、とメールがあった。これだけの暑さやから、体調をくずしたのだろう。仕事を持ちながら(いや、持たなくても)子どもを育てる中で、たすけてくれる人がそばにいてくれるのはうれしい。たとえ直接の手助けをしてもらえなくても、愚痴をこぼしたり、お茶のみながら話せるだけでも、ずいぶんきもちが楽になる。
友よ、暑いけどきばって「グランマ」してきてください。「お孫ちゃん」どうか早くよくなりますように。そして、こんなとき親が安心して休める(または働ける)社会を、と改めて思うのだった。

▲ そういえば、わたしは上の子が赤ちゃんのころ、しょっちゅう扁桃腺を腫らして医者通いをした。病院には子ども連れで行くこともあったけど、点滴となると時間がかかるので、そんな時は近くに住む友だちに頼んでウチに来てもらった。子どもは元気やのに母親であるわたしが病気ばっかりで、情けなくて、めそめそ、気弱になっていたから、友だちと息子のことを弟みたいに可愛がってくれる彼女の娘Mが来てくれると、ほんまうれしくて ありがたかった。わたしたちの親は近くにいなかったけど、恵まれていたなあとおもう。

▲ あれから30年近く。いつしかMも母となり、友はグランマになった。
『悪友が母となりたる秋真昼』(土肥あき子『鯨が海を選んだ日』(2002)所収)というすきな句がある。仲間内で一番早く「母となった」友に「ほおお~」と感慨深かかったものだけど。若いときからあほなこと一緒にしてきた「悪友」から 携帯の待ち受け画面の孫の写真を見せられる日が来ようとは。でも彼女の「ばばばか」ぶりを笑いつつ、そういうわたしだってエレベーターの中で乗り合わせたベビーカーの赤ちゃんから笑いかけられただけで、その日はハッピーな気分になる。子どもの笑みのもつ力はすごい。

▲けど、子どもは写真やないから、ずっと「いいおかお」してくれるわけもなく。時々スーパーで買い物の途中に全身でぐずるちっちゃい子のその泣き声の凄まじさに、しばらく忘れていた育児期のドタバタの日々を思い出す。
元気な子は元気ゆえに、からだに弱いところのある子はその弱さゆえに、親はそのつどふりまわされ、走りまわり、怒ったり、怒りすぎたと悔やんだり。そのうち子どもの笑顔にはっとして、つられて笑うて。親もまたすこしずつ育ってゆくのだけど。
いや、それはそれとして。その前にまず必要なことは生活の基盤だ。
くりかえされるつらいニュースに、やるせない思いで以前ここで(08.5.8 「すべてのこどもたちに」)書いた児童憲章を読み返しながら、いま、この環境を保証されている子どもたちがどれくらいいるのか、と再び考えこんでいる。


【児童憲章】
われわれは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んじられる。
児童は、よい環境のなかで育てられる

一、すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
二、すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもつて育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
三、すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
四、すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果すように、みちびかれ る。
五、すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。
六、すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整つた教育の施設を用意される。
七、すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。
八、すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。
九、すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、わるい環境からまもられる。
十、すべての児童は、虐待、酷使、放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。
十一、すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。
十二、すべての児童は、愛とまことによつて結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。
             
 1951年(昭和26年)5月5日制定


*追記*

児童憲章について 
『この児童憲章とは、すべての児童の幸福をはかるために、児童の基本的人権を社会全体が自覚、確認し、その実現に努力する目的でつくられた12か条の文章です。1949(昭和24)年中央児童福祉審議会で制定しようという意見が出て、これをきっかけに直ちに児童憲章制定準備委員会が設立、1951( 昭和26)年には、55名で構成された児童憲章草案準備会の手で草案が練られました。この草案を、内閣総理大臣が、国民各層から選んだ協議員からなる児童憲章制定会議に提出し、その決議を経て、その年の5月5日、子どもの日に宣言されました。ただし、法律として国会において制定されたものではありません』 「大人のために児童憲章」求龍堂刊 より
by bacuminnote | 2010-09-03 20:49 | 俳句