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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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大きい暖簾のむこうから。

▲ 着ては洗い、干して乾くとすぐまた着て。すっかりくたびれたTシャツを今日もまた洗って干した。9月も半ばすぎやのに相変わらずの暑さやから、明日もまたコレ着るんやろなあ。
若いときは無理しても「かっこええ」方を選んでた気がするけど、この頃はかっこより着心地がだいじ。ここちよいものは色あせても、何度も、いつまでも着てる。でも、年をとってきたからこそ、若いときとはちょっとちがう観点で「かっこええひと」にはやっぱり憧れるなあ。
さっぱりとしてよく馴染んだ服。やさしさと賢さが しずかな人。あと、背筋のぴんとのびた人。(ハードル高し)

▲ 先週末、京都に行って来た。
一番の目的は うらたじゅんの個展。二番目はそのギャラリーのわりあい近くの 北村美術館という茶道具の美術館。
じゅん同様40年来の旧友Mと久しぶりに歩く京都のまち。美術館のある河原町今出川あたりもなつかしい通りだ。それでも、もうほとんど忘れてるなぁ、と思ってたのに。交差点でふと見上げた「出町柳輸入食品」の看板に、とつぜん記憶のスイッチ・オン。この店の前を通ると買ったチョコレートに始まって、次々にいろんなことを思い出した。

▲ 北村美術館は吉野出身の実業家で茶人でもあった北村謹次郎氏のコレクションの保存・公開のために昭和52年(1977)に設立されたそうだ。だけど、わたしはつい最近まで知らなかった。(又この存在を知ったのが、ブログ「加藤わこ三度笠書簡」のコメント欄で。そしてブログ主で、おなじく吉野出身で隣町のわこちゃんも知らなかったというのもおもしろい。)
わたしはその北村本家のすぐ近くで生まれ育った。子どもの頃は毎日近所の友だちと北村さんちの高い木塀にボールあてて遊んでた。(すみません)
そうして、塀を越してボールを飛ばしてしまってはそのつど「取らせてくださーい」とお願いしに行くんよね。

▲ここのお家は子どもの目にも「とくべつ」な感じがして、ひんやりと薄暗い玄関に自分の声がひびいて緊張する。それでも顔見知りのお手伝いのおばさんのやさしい顔が 藍色の大きい暖簾のむこうから見えるとほっとして、広い土間を越え、ようやくお庭に出るんやけどね。そこは「お庭」とはいえないくらい広くて迷いそうになって、たいていボールは探せないまま「おおきにぃ」と出てきて、外で待ち受ける仲間に「やっぱりあかんかった」と答えるのだった。

▲ おっと、またまた道草ばかりしてたら美術館の話までたどり着けなくなるのでこのへんにして。
今回はMが一緒だったから道に迷うこともなくスムーズに到着。
ここは年に二期(春と秋)のみの開館で、その日は秋期展の初日。お茶会の設定で「寄付(よりつけ)」「濃茶」「続き薄茶」「懐石」と道具立てされているそうで。お茶事の経験も豊富なMがいろいろ教えてくれて、ちょっと見直した。(←「ちょっとだけ~?」と言われそう・・笑)
信楽の四方瓶掛(陶器の四角い火鉢みたいなもの)と織部の焼物鉢(これは重要文化財とのこと)と鍍金経筒(←いま調べたら「めっき きょうづつ」と読むそうだ。この他にも難読漢字多し。目録にふりがなつけておいてほしいなあ・・苦笑)の花入れがとってもよかった。

▲ 北村美術館を出て、こんどはいよいよ出町柳のトランスポップギャラリーに。
いつもあほなこと言い合うては、あははと笑いころげてる仲間のじゅんが、マンガ家・イラストレーター「うらたじゅん」の顔で作品の前に立つのがガラス戸越しにみえて、どきっとした。そう、たまに(?)見せてくれる このきりりとした顔にわたしは会いに来たのだ。
今回は『駅で待っている』というタイトルで、いろんな汽車、電車をめぐる作品。じゅんのマンガにも登場する嵐電、わがセイシュンの市電。京津線に和歌山の野上鉄道。そうして今春亡くならはったじゅんのママの故郷 岡山の臨港鉄道~ていねいに描き込まれたペン画。初めて見るのに、いつかどこかで会ったことのあるような、なつかしい時間や風景。でも郷愁だけではない、その合間に見え隠れするふしぎな空気に、ああ、うらたじゅん、とおもう。
そう、猫も金魚も蝶、人魚姫にカブトムシもまた。子どもたちとおなじ存在感でもって物語を紡いでいて愉しい。

▲ ギャラリーでは画家の林哲夫さんが帰らはるところで、思わず氏の"daily-sumus"のファン宣言をしてしもたり、なんと先述の三度笠・加藤わこちゃんもちょうど来ていて、うれしいおどろきが重なった。そういえば、Mもわこちゃんもじゅんの紹介で知り合ったことに気づく。
ありがたい。(ついでに?わが相方にもじゅん繋がりで出会ったことを思い出す)
18の春に会うてから、お互いそんなふうにあの人この人を紹介し合って、おもしろくて、ええ人らといっぱいつきあってきたんよね。
ギャラリーを出てMと二人で 駅近くのジャズ喫茶にて旨い珈琲とケーキとええ音楽にしばし聴きほれて。
ああ、しみじみと佳い一日だったな。
そうして北村美術館の秋季展のタイトル『追憶の茶』を思いながら、京阪電車に乗り込んだ。


*追記

その1

うらたじゅん個展「駅で待っている」
2012年9月15日(土)~30日(日)
<在廊日>各土日pm2:00~
<場所>京都・出町柳トランスポップギャラリー 京都市左京区田中関田町22-75 Tel.075-723-1780
<営業時間>
(注・19日(水)は臨時休業となりました)
■水~土曜日:12:00~19:00

■日 曜 日:12:00~18:00

■定 休 日:月、火曜日



その2

きょうはこんなのを聴きながら。All My Favorite People(by Over The Rhine)
by bacuminnote | 2012-09-18 15:10 | 出かける