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いま 本を読んで いるところ。


by bacuminnote
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紅や黄色がうしろに走る。

▲ 朝、ふと見上げた空が何だか くっと息のむようなブルーで、そんな中を白い飛行機雲が幾筋か すいーっと走ってて。
『小春日や こはれずに雲 遠くまで』(柴田美佐句集『如月』所収)~前にノートに書き写した句がすいーっと浮ぶ。
じめじめ、しんしん冷えた昨日と大違い。ああ、どこかに行きたいなあ~とさすがの出不精も思うて・・・で、来週行くつもりだった墓参に。
急いで支度して、仏花買うて、ビスケットと缶コーヒ持って、いつものように1時間のバス遠足なり。(←しかし「どっか行きたいなあ」が墓参になるとは・・苦笑)
 
▲ バスの中はぽかぽか。強烈にねむけをさそう陽気に、むかしの教室の窓際の席を思い出しながら、大きな欠伸ひとつ。と、前の席の人もふぁーーとやってはるのが見えて、声だして笑いそうになる。慌てて出て来たから本を持ってくるのを忘れて がっかりしてたんだけど。街路樹の紅や黄色ががうしろへと走ってゆくのを窓越しに眺めながら、しばし五・七・五と指折って、ことばあそびもそのうち飽きて(あきらめて)知らんまにうとうと。気がついたら終点。(あ、乗り過ごしではなく目的の駅です)

▲ タクシーに乗って「◯◯墓地までお願いします」と言うたらドアが閉まり。が、そのうち閉まるかと思った後部座席の窓が開いたままで。いくらええ天気いうても、窓開けて走る季節やないしね。
「あのぉ窓 閉めてくれませんか?」って言おうと思ったその時に、「いやあ、今日は暑ぅおますなあ」と運転手さん。(←大阪でこういう話し方しはる人はかなり高齢者)えっ?何?「温い」やのぅて「暑い」って?・・と思いながらも「え・・あ、はい」とか曖昧に返事して、窓閉める件を言い出せなかった後部座席の乗客(苦笑)

▲ でも、そのうちほんまに窓からの風がここちよいくらいに車内は温かく(窓開けてるしね「暑く」ではなかった)。「昨日はあないに寒かったのになあ」「ほんまに~あんまりええお天気やから今日はお墓参りしよ、思って」「へえ?お墓参りでっか」「いや、だから◯◯墓地に、って・・・」
あれ?だいじょうぶかな、と思ったんやけど。案の定、曲がるべきところを通過。おっちゃん(というより、おじいちゃん)しっかりしてや~(笑)

▲平日の午前中は閑散としてるこの墓地も、今日の陽気ゆえか、三々五々おばちゃんにおばあちゃん、おじいちゃんがお参りに来はる。顔あうと「こんにちわぁ~ええ天気ですねえ」とどちらからともなく挨拶して。隣接するお家のベランダから干した布団をぱんぱん叩く音が聞こえて。お昼前やしね、煮物や炒め物のにおいもどこからか流れてきて。
つくばって草むしり。尾崎放哉やないけど、墓のうらに廻って。また草むしり。墓石に刻まれた文字に、義父が亡くなって今年で10年だと気づく。そうか~もうあれから10年になるのか。

▲『その日、いつものように相方は夜中二時半すぎに起きて、パンを焼き、わたしはあちこちに発送準備をし、お送りするお客さんに便りを書いて。
それから、袋詰めするまでの間にホームページ「麦麦通信」に この日一段ときれいやった朝のことを書いてアップした。

【パン焼きの日のスタート時はまだ星空ですが、朝6時頃になるとようやくあたりが少うし明るくなってきて。
それでもまだ空は深いブルー。そんな空をバックに黒い山々の稜線がシャープです。こんなすばらしい光景を 相方と二人だけで見てるのがほんともったいないと思う。そのうち山々も眠りから覚めるように色を帯びてきて。
こういう景色を 当たり前に見ることのできる 日常に、心からありがとう!と思う朝なのでした】(2003.11.18/麦麦通信)

まさかこの日が最後のパン焼きになり、最後のパンの発送になるなんて、思いもしなかったのに。
さっき改めてこれを読んでたら、なんか どこか「当たり前」じゃなくなる日を予感してるみたいで、どきんとした。

このあと、すこしして病院から義父危篤の知らせを受けて、わたしたちは大急ぎで大阪に向かう支度をしたのだった。主治医のことばから、最悪の事態を覚悟しながらの帰省となったので、道中 初めての携帯電話を契約して車内で説明書を読みながら、親戚や親しい人に連絡をして。そして、大阪まで まだ2~3時間はかかろうかという所で「たったいま」と知らせを受けた。
』(2006.11.18拙ブログより抜粋)

▲いま思ったらわたしはまだ40代のおわり頃で。相方は、息子たちは何歳やったなあ・・と思いをめぐらせる。そら10年経ったんやから、当時は「マイナス10歳」で当たり前なんだけど。自分自身の変化(更年期もふくめこの10年は大きかった)、それにあらためて、この間の子どもらのこと、義母の病気や入院、あれやこれや思い出してなんや胸がいっぱいになった。

▲さて、そんなふうに物思ってぼんやりしてたからか、草ぬきに思いのほか時間かかったからか。いつのまにかお昼すぎてみんな帰らはったみたいで、あたり見渡したらわたし一人。お腹はすくわ、腰は痛いわ、なんや心細いわで、掃除もぼちぼち終わりにしてお線香あげて、墓地をでる。
帰りはいつもどおり徒歩。タクシーの運転手さんが言うてはった「このごろは又シャッターが上がりだした」商店街をゆく。おまんじゅうに味噌団子、刃物研ぎに、味噌屋に佃煮屋。婦人服に靴屋に額屋と本屋。いま街からどんどん消えてゆくという「~屋さん」がいっぱいで。ところどころに昔ながらの純喫茶~ええなあ。こういうごちゃごちゃとした感じ。すきやなあ。「木曜は休みの店多い」って聞いたけど、それでも人通りもけっこうあって、あちこちからええにおいが あふれてる。(←空腹におもいっきり堪える)

▲ようやく駅に着き、バスに乗るや出発までの短い時間に後ろの席にて こそこそとバッグから取り出してビスケット+缶コーヒ。この時分になると車内は温いより暑く。さっきのタクシーの運転手さんやないけど、窓開けて走ってほしいくらい。だんだん気持ち悪くなって、ストールを外しカーディガンを脱ぎ、とうとう薄いブラウス一枚になった(こんな格好はバスの中でわたしひとりであった・・)
暑さと空腹で(←しつこい)長く感じた帰途だったけど、ようやくバス停に着き、降りるなり深呼吸。ああ、すっとした。ていうかハラヘッタ!(笑)
家に走って帰って昨日のハヤシライスの残りを食べるつもりだったけど。予定変更。たこ焼き屋に直進だ。
カウンターにて一皿。目の前に貼りつけてあるメニュウの「ビールセット」の派手なロゴを見ながら(見るだけ)ひっさしぶりの熱々たこやきを頬張った。ああ、おいし。

*追記
その1)
開田高原をおもいだしながら、前にも貼ったたことあるけど、だいすきなCDから(ジャッケトもすき)
the winter-Balmorhea


その2)
今回 この前読んだ本『さよならを待つふたりのために』と映画(DVD)『最初の人間』のこと書きかけてたんだけど、ええ天気にさそわれて途中でほっぽって墓参に出たら、全然ちがう話になりましたが。こんど(こそ・・忘れんうちに)書くつもり。
by bacuminnote | 2013-11-15 11:12 | 音楽